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大谷翔平の復調とペナント争い。162試合で戦われる2021年の大リーグの覇権の行方

posted2021/03/27 11:01

 
大谷翔平の復調とペナント争い。162試合で戦われる2021年の大リーグの覇権の行方<Number Web> photograph by Getty Images

大谷は25日のロッキーズとのオープン戦で指名打者にて先発出場。第1打席で先制5号ソロホームランを放った

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 春季トレーニングで大谷翔平が飛ばしている。エキシビション・ゲームの成績で一喜一憂するのはどうかと思うが、3月22日現在、打者として9試合に出場して、22打数14安打4本塁打。OPS=1.836。驚きの数字だ。

 とくにOPSが凄い。20打数以上の打者のなかでは、大リーグ全体でも第1位だ。アダム・フレイジャー(26打数、1.477)、クリス・テイラー(31打数、1.453)ヴラディミール・ゲレロJr.(25打数、1.446)らの上を行く。ちなみに、マイク・トラウトは28打数7安打で.810。ムーキー・ベッツは30打数10安打で.878。このあたりの実力者たちは、じっくり調整しながら、開幕時に照準を合わせているにちがいない。

 たしかに大谷の動きは、故障に悩まされた過去2年に比べると格段によさそうだ。映像を見ても力感が豊かだし、身体全体がスムーズに連動している。投手としても調子を上げつつあるようで、エンジェルスの総合力に対する評価は、「ア・リーグ西地区の穴馬」といった水準にまで浮揚してきた。

不安な投手陣を大谷が支えられるか?

 ただこのチームは、相変わらず投手陣に不安が多い。ディラン・バンディやアンドルー・ヒーニーといったところを軸に先発をまわしていくことになるのだろうが、はっきりいって彼らの実力は未知数だ。とても全幅の信頼は置けない。チームの浮沈は、投手・大谷が完全復活して2ケタ前後の勝ち星を計算できるかどうかにかかっている。

 もっとも、ア・リーグ西地区の水準は、けっして高くはない。ヤンキースとブルージェイズが覇権を争う東地区、ホワイトソックスとツインズがしのぎを削る中地区に比べると、西地区ではアストロズがいくらか抜け出しているものの、エンジェルスにチャンスがないとは言い切れないのだ。

 エンジェルスの強みは、打線の破壊力だ。マイク・トラウト、アンソニー・レンドン、ジャスティン・アプトンが並ぶ中軸の前後を、大谷翔平やデヴィッド・フレッチャーらが固める。D・J・レメイヒュー、アーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントンらをそろえるヤンキースの打力にはかなわないものの、ホゼ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマン、カルロス・コレアを打線の中軸に擁するアストロズが相手なら、けっこういい勝負ができるのではないか。ただ、先発投手陣を比べると、ザック・グリンキーやランス・マッカラーズJr.のいるアストロズに一日の長がある。

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大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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