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中学生で日本代表、狩野舞子は“期待の美少女エース”のころをなぜ「暗黒時代」と呼ぶのか【衝撃の“春高ポスター事件”】
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/03/25 11:04
笑顔が絶えないインタビューだったが、狩野自ら「暗黒」と語るほど若手時代は塞ぎ込んでいたという
藤山さんの思い「今だから話せる」
当時を振り返り、ポスターの仕掛け人でもある藤山は「今だから話せる」と明かす。
「本来チームスポーツである以上、個別の選手を突出して取り上げるのはあまりいい方法ではないかもしれない。でも、短時間で視聴者に伝える術として仕方ない部分もある。
八子くん、狩野さん、ポスターに登場してもらった2人は僕にとって今も特別な存在であることに変わりはありません。でもだからこそ、本来発揮し得る可能性を潰すぐらい、必要以上に僕らが重いものを背負わせてしまったんじゃないか、という申し訳なさは消えません」
担ぎ出した側と、担ぎ出された当事者——。
時を経て、藤山は再びスポーツ局のプロデューサーとしてロンドン五輪を目指すバレーボール日本代表を担当した。同時期に日本代表へ選出された狩野との交流も続き、女子バレーボール代表は銅メダルを獲得し、その歓喜する輪に狩野の姿を見た。
そこで初めて、藤山は安堵した。
「よくぞここまで来てくれた、と胸を撫で下ろす思いでした」
【後編へ続く】狩野舞子が「変えたい」と思う若い女性選手の環境とは? 男性指導者の「生理」への理解、下着のラインの“ズーム撮影”…
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