「ヘッドスライディングとか、いらない。いつもと違うことやってるなと思いました。力が入り過ぎている。1つ目はまだしも、2つ目は（周りを）見てねえな、と。余計でしたね」

島への恩返しが「2割に減ってしまった」

　1-2と1点ビハインドで迎えた最終回、2アウト走者なし。打席には、清水が「これまで見た打者の中でもパワーはナンバー1」と評価する4番・調祐李が入った。清水はここでもマスクを外した。

「調ならホームランを打つ力があるんで、最後の打席、期待したんですけどね」

　しかし、その調が高々と打ち上げたフライも、難なくセンターのグラブに収まった。

　人口約5000人の大島の住民にとって、大崎は希望の星だ。島民はあらゆる面でバックアップし、大崎の選手たちを支えてきた。

　清水はそんな島への恩返しは、まだ3割しかできていないと語っていたが、そのことについて触れられると、こう返した。

「なんか、2割に減ったんじゃないかと思いますね。勝たないと意味がない。期待を裏切ってしまった……」

　残り8割。「負債」が増えたぶん、大崎はまた強くなる。