イチ流に触れてBACK NUMBER
「翔平にも投げてみたいねぇ」150キロ超えの“打撃投手イチロー”が見た〈打者・大谷翔平〉とは?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2021/03/20 06:00
キャンプで打撃投手として現役さながらの豪速球を投げ込むマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー
「地に足がつかないような状況、いわゆるバタフライ。初めていろいろなことを経験していけば、緊張したり、ふわふわした感じになることは誰にでもあること。あのイチローだって、いつも打席や試合中は緊張の連続だったと言っていた。バタフライは誰にでもあることなんだ」
選手にとって、まさに“生きる神”と言える。
イチローが打者・大谷翔平を見つめる視線
話は3月17日に戻る。練習を終えたイチローさんは目を輝かせて言った。
「試合は見る予定です」
この日はエンゼルスを迎えてのナイター。二刀流として、絶好調の大谷が「1番・DH」で出場した。試合前に挨拶を交わしたイチローさんはパーカーのフードを被り、黒マスク姿でマリナーズベンチから大谷の動きを見つめた。
かつてのイチローさんの指定席「1番」で「1安打」「1盗塁」と躍動した大谷の打撃成績はこの試合を終えて、出場全試合で安打を放つ8戦連続安打で打率.600、4本塁打、7打点、1盗塁。10割を越えれば超一流とされる強打者の指標「OPS(出塁率+長打率)」は1.809まで上がった。イチローさんは実感を込めて言った。
「翔平にも投げてみたいねぇ」
打者として、どれだけ大谷が成長したのか。叶わぬ願いなれど、イチローさんは思いを巡らせていた。
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