ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
引退も考えた“どん底”の京口紘人がアメリカ初戦で防衛成功 井上尚弥級スターの道へ、「ギリギリ合格点かな」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKyodo News
posted2021/03/15 17:02
試合前の計量会場でポーズを取る京口紘人(左)とアクセル・アラゴン・ベガ
スター選手への道のスタートラインに
ボクシングにおいてヘビー級を筆頭に重量級が高く評価されるのは確かだが、軽量級でも重量級に劣らない人気を集める選手がいる。たとえば京口が出場したリングのメインで対戦したスーパー・フライ級のフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)とローマン・ゴンサレス(帝拳=ニカラグア)はその代表格だし、バンタム級で圧倒的な強さを誇る井上尚弥も世界的なスターへの道を着実に歩んでいる。アメリカではボクシング市場の拡大もあって、軽量級選手でも一流どころであれば十分にメインを張れるのだ。
つまり京口はこれらの選手と肩を並べるためのスタートラインに立ったと言える。当面の目標はライト・フライ級で最強を証明すべく、4団体統一を目指すこと。難敵を退ければフライ級、スーパー・フライ級への進出も視野に入ってくることだろう。試合後、今後の抱負を問われた京口は次のように話している。
「アメリカが僕を求めてまたアメリカのリングに立ってくれとオファーがくるような選手になりたい。その中でビッグマッチができるように精進していきたい」
いつかは本場のリングでメインイベンターに――。アメリカの地で新たなスタートを切った京口が大きな夢を確かな目標に変えた。