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引退も考えた“どん底”の京口紘人がアメリカ初戦で防衛成功 井上尚弥級スターの道へ、「ギリギリ合格点かな」

posted2021/03/15 17:02

 
引退も考えた“どん底”の京口紘人がアメリカ初戦で防衛成功 井上尚弥級スターの道へ、「ギリギリ合格点かな」<Number Web> photograph by Kyodo News

試合前の計量会場でポーズを取る京口紘人(左)とアクセル・アラゴン・ベガ

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 WBA世界ライト・フライ級スーパー王者の京口紘人(ワタナベ)が13日(日本時間14日)、米テキサス州ダラスのアメリカンエアラインズ・センターで3度目の防衛戦に臨み、挑戦者で同級10位のアクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)に5回1分32秒TKO勝ち。自身初となるアメリカでの防衛に成功した。

 京口にとって“世界進出”の第一歩となる一戦は、本人曰く「ギリギリ合格点かな」という辛めの自己採点だったが、1年5カ月ぶりの試合、アメリカ初陣ということを考えれば、十分に合格と言える内容だった。

 満点とはいかなかった理由は、この試合が世界戦2度目というベガの気迫、そして挑戦者の身長が146センチ(京口は162センチ)という「今までのボクシング人生で経験したことのない相手」というところにあった。

5回に突然訪れたフィニッシュ

 出だしは京口が先手を取ったものの、ベガはガードを固めながら王者に肉薄し、得意の右フック、左右のボディブローとアッパーを盛んに繰り出していった。京口もこれに応じ、試合はスタートから頭をつけてボディ打ちとアッパーの応酬というエキサイティングな攻防となる。2回にはベガが体の小ささをいかして京口の懐に潜り込み、ロープに押し込んで攻勢をアピールした。

 大事な米国デビュー戦、さらには久々の試合ということで京口は少し受けに回ってしまったのかもしれない。しかし、ここで冷静にゲームメイクしたところはキャリアのたまものだった。「修正しなければならない」と感じたチャンピオンはジャブを増やしてチャレンジャーの勢いをそぎ、接近戦でもボディ打ち、アッパーで巧みに迎え撃ち、徐々にペースを引き寄せていった。

 さあこれからという5回にフィニッシュは突然訪れる。右を振り下ろしたベガがいきなり痛みを訴えて京口に背を向けて後退。京口が襲いかかったところでレフェリーが試合をストップした。ベガが京口の側頭部にパンチを打った際、右拳を激しく痛めてしまったのが原因のようだった。

「欲を言えば倒したかった」との京口の言葉は本音だろう。だが、それ以上に「ほっとした」というセリフにチャンピオンの実感がこもっていた。

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