井口　河本に「いつもどおりやれよ」って言いながら顔を見た瞬間、違う顔だった。「こらダメだ……」と思いました。

河本　せり上がる時、気を失いそうになってしまって……。

井口　そんなやつは引退するしかねえよ。

――気を失いそうになったんですか？

河本　意識が飛びそうになるし、耳鳴りもするし、視界もぼやけてきて……。階段降りるときも階段がよく見えないから、踏み外しそうになった。じつは最後の方、一段飛ばして降りてるんです。

――確かに緊張している印象はありましたが、そこまでとは思いませんでした。

「ネタ飛ばせばよかった」「お前が言うな！」

井口　こいつ、7回ぐらい噛んでますから。

――そんなに噛んでましたか？

井口　よく見れば、わかると思います。いっそのこと、いじれるぐらい噛んでくれりゃいいのに微妙に噛む。観ている人にもこいつの緊張は伝わったと思います。そうなると、一気にウケなくなる。なんなら、ネタ飛ばしてくれとも思いましたけどね。中途半端に噛むぐらいなら、それくらいの方がいい。そっちの方が笑いに変えられますから。

――それだけ緊張しても、飛ばすことはなかったんですね。

河本　ずっとやっていたネタだったので。それがよくなかったですね。飛ばせばよかった。

井口　お前が言うな！　お前は、絶対に、言うな！

――でも、あきらかにいつもの自分ではなかったんですね。

河本　ぜんぜん。ずっと視界もぼやけてるし。息の仕方もよく分からなかったし。

井口　やめてくれよ、そんなの言うの。

――でも、だったら、審査員も見えなかったのでは。

河本　見えなかったです。ぼやけて。

「復讐劇なんだよ」で松本人志さんを見た理由

――井口さんはネタ中「お笑いは今まで何もいいことがなかったヤツの復讐劇なんだよ」と言ったあと、チラッ、チラッと、何度か審査員の方を観ていましたよね。あれは「ですよね？」という意味で見たのですか。

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