田渕を対戦相手に希望した理由

「田渕選手の前回の試合を見て“これはヤバい選手が出てきた”って思ったんですよ。同時に“試合してみたいな”とも思って。なんでですかね。これまでそういうふうに思ったことはなかったんですけど」

　強い選手を見たら闘ってみたいと思う。“強者のマインド”のようなものが備わってきたということだろうか。昨年のトーナメント1回戦では、思うような動きができず大泣きした。本当に少しずつの成長。しかし結果として、取れるベルトは全部取っている。

ジャニーズは格闘技と同じくらい大事

　格闘技を始めたのは小学生の時。ジャニーズが好きで、シュートボクシングのRENAが嵐と共演しているのを見て「私も会えるかも」と思ったそうだ（もっと前には、自分がジャニーズに入りたかった）。今でもジャニーズは格闘技と同じくらい大事なもの。この日の会場、横浜アリーナは「毎年何かのコンサートで行って、ペンライト振って泣き叫んでる場所です」。リハーサルや入場時に「一昨年のキンプリのコンサートはあの席だったなぁとか、あの上の方の席は誰のコンサートの時だったとか思い出してました」と言う。大一番を前にかなり落ち着いていたということだろう。

「かもしれないです。なんでしょうね。変なところで肝が据わってるんですよ」

©Norihiro Hashimoto

　子供の頃から弟と格闘技をやってきて、周りから「（女の子なのに）凄いね」と言われるのが恥ずかしかった。高校までは平日は自宅で家族との練習。週末は地元の群馬から千葉のTEPPEN GYMに連れて行ってもらった。那須川天心のいるジムだ。「違う県に居場所がある、仲間がいるっていうのは子供にとっては凄く大きなことでした」と寺山。周りから見ればかなり珍しい少女時代だろう。でもそれが彼女の選んだ道だった。

　小学生の時に初めて会って以来、寺山はずっと那須川の背中を追ってきた。

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