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長瀬智也とリンクする『俺の家の話』 「介護×プロレス×伝統芸能」が“ただのコメディドラマ”ではない理由 

text by

木俣冬

木俣冬Fuyu Kimata

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photograph byドラマ『俺の家の話』(公式サイトより)

posted2021/02/26 17:01

長瀬智也とリンクする『俺の家の話』 「介護×プロレス×伝統芸能」が“ただのコメディドラマ”ではない理由<Number Web> photograph by ドラマ『俺の家の話』(公式サイトより)

宮藤官九郎脚本・長瀬智也主演で現在放送中の『俺の家の話』(TBS系 金曜よる10時~)

 ところで、覆面レスラー・スーパー世阿弥マシンとしてプロレス復帰した寿一を演じるにあたり、長瀬は代役を立てることなく、撮影に臨んでいたという。レスリングの練習から能の練習まで、ありとあらゆることに挑みながら、ドラマの主役を全力で務める。そう考えると、『俺の家の話』は主人公・寿一だけでなく、演じる長瀬にとっても、カラダの中から汗を絞り切るように、一片の悔いも残せない“集大成のドラマ”かもしれない。

 同時に、見ている者にも、悔いのないように生きられるか突きつけてくるような気さえして、自分の足元を見つめてしまう。私たちは、どれだけしっかり立っているだろうか――。

 昨今の地上波ドラマには少ない骨太なドラマながら、介護ヘルパーさくら役の戸田恵梨香の愛らしさも見逃せない。寿三郎の介護中(「ビューティフルライフ」ごっこ)にめまいを起こして倒れたさくらが、まるで仕留めた鹿や猪を抱えるように彼女を“マタギ抱っこ”してくれた寿一(スーパー世阿弥マシン)に惹かれていく。マスク越しに「好き」とつぶやくときのさくらの瞳の熱っぽさは、進む道に迷った私たちの身や心を激しく駆動させる。

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