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なぜBIG3はグランドスラムで“異様に強い”のか… 33歳ジョコビッチがふと漏らした本音【全豪9度目V】 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byHiromasa Mano

posted2021/02/22 17:02

なぜBIG3はグランドスラムで“異様に強い”のか… 33歳ジョコビッチがふと漏らした本音【全豪9度目V】<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

全豪通算9度目の優勝――強すぎるジョコビッチとBIG3時代はいつまで続くのだろうか

 メドベージェフはたまらずフォアをミスヒット。これでゲームポイントを握ったジョコビッチが、23本のロングラリーを制してサービスゲームをキープ、5-2として優勝に王手をかけた。

GS優勝18回、フェデラーとナダルの背中が見えた

 マッチポイントでは軽業師のようにハイボレーを決めた。9度目の全豪優勝を決めたジョコビッチは、どうだ、というようにコートに大の字になった。18回目のグランドスラム制覇。優勝20回でトップに並ぶロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルの背中がいよいよ近づいた。

 この試合を迎えるまで、メドベージェフは20連勝中だった。しかもトップ10プレーヤーに12連勝中と、上位に無類の強さを誇っていた。次代のナンバーワン候補の一番手に押す声もある。25歳のメドベージェフがBIG3の一角に勝てば、世代交代の到来がいよいよ現実味を帯びる。だが、ジョコビッチがそれを許さなかった。

「グランドスラムこそ自分のベストを尽くしたい」

 世代間の対決を制した33歳は、こう語る。

「年をとったとか疲れたとか、そんな感じはしない。でも、生物学的にも現実にも10年前とは違うと分かっている。賢くスケジュールを組み、適切にピーキングを行なう必要がある。だから、グランドスラムこそ自分のベストを尽くしたい大会なんだ」

 このまま行けば、3月8日にランキング1位在位が311週となり、在位310週のフェデラーを抜いて単独1位となる。このことも今大会のジョコビッチに更なるモチベーションを与えていたはずだ。3回戦で腹斜筋を断裂、「グランドスラムでなければ棄権を考えた」ほどの負傷だった。この試合と次の試合は苦しんだが、準決勝以降はまったく影響を感じさせなかった。

 決勝進出を決めた時点で、テレビのインタビューに答えたジョコビッチは、あとに続く世代の選手たちについてこう話したという。

「まだBIG3に取って代わったわけではないし、彼らにはまだやるべきことがたくさんある」

 若手の成長は感じるが、その挑戦を退けることが特別なモチベーションになっているわけではないという。

「若い選手、年長の選手、どの選手もリスペクトしている」

 まさしく優等生のコメントだが、ジョコビッチがそれに続けた言葉に本音が見えた。

【次ページ】 「ロジャーやラファ、僕が健在なのは理由があってのこと」

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