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「多くの犠牲を払ってここまできた」製薬会社勤務の主婦が、大舞台・スーパーボウルで笛を吹くまで
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2021/02/19 17:01
2月7日のNFLスーパーボウルで初の女性審判として笛を吹いたサラ・トーマス。2015年よりNFLの審判を務めている
今季は73名がフルタイムで働いているが、アダム・シルバーコミッショナーは「将来的に審判の半数が女性になることを望んでいる。またチームもより多くの女性コーチを雇ってほしい。(審判やコーチが)男性でなければならない理由はないのだから」と話す。
2014年にサンアントニオ・スパーズがアシスタントコーチとして女性を雇って以降、少しずつではあるが女性コーチ、審判が増えてきている。
八村塁が所属するワシントン・ウィザーズもWNBAのワシントン・ミスティックスの現役プレーヤー、クリスティ・トリバーをアシスタントコーチとして雇用。(チームもリーグも異なるが)プレーヤー兼コーチという新たな形に驚きの声が上がった。トリバーの誕生日に、八村やチームメイトがそれぞれの言語で「ハッピーバースデー」を歌う動画がチームのSNSにアップされていたように、チームに馴染んでいる様子だ。
ガラスの天井を破るのは、容易なことではない
メジャーリーグサッカー(MLS)でも昨年9月にトリー・ペンソが20年ぶりに女性審判として笛を吹いているように、少しずつ体制は変化している。
ペンソは試合後に大舞台に立てた喜び、プレッシャーから解放された安堵から、ロッカーで号泣したという。ガラスの天井を破るのは、容易なことではないことを彼女たちは身をもって痛感しているのだろう。
プロの野球では1972年にバーニース・ジェラという女性がニューヨーク・ペンシルべニアリーグで1試合審判を務めた後、メジャーリーグでは女性審判は現れていない。NFL、NBAなどの流れを受け、MLBも積極的に女性を雇用するのか、ガラスの天井を破る女性が現れるのか注目だ。