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わずか3年で東京パラリンピック代表! パラ射撃界のニューヒロイン・水田光夏に松岡修造がほめられる 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/03/07 06:00

わずか3年で東京パラリンピック代表! パラ射撃界のニューヒロイン・水田光夏に松岡修造がほめられる<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

水田光夏選手と会って初めてビームライフルに触れた松岡さん。当初はまったく感覚がつかめなかったが……

水田:うーん……

松岡:あの黒いまん丸さんは団子というか、あんこ玉みたいですよね。そのど真ん中に当てられる感覚が僕にはわからないんです。

水田:あんこ玉(笑)。

10.9点満点中、10.6点以上が当たりという感覚

 いまひとつ話が噛み合わない水田選手と松岡さん。それだけ射撃という競技が特殊なことのあらわれだが、この二人の窮地を救うべく、水田選手の指導にあたっている鳥居健コーチが手を差し伸べた。

鳥居:今、彼女がチラッと僕を見ました。これは「助けてくれ」という合図なので説明しますと、同心円というのはリアサイトの覗き穴、銃身の先のフロントサイトのリング、そして「黒点」と呼ばれる的の中心がきれいに並んで見えるようにするということです。同心円の状態になったとき、的の中心に弾が当たるように調整してあります。

松岡:理屈はわかります。でも10mも離れた小さなあんこ玉の中心に当てるイメージが全然、湧かないんです。

鳥居:では、松岡さんも体験してみてください。エアライフルは銃の所持許可がないと触ることも許されないので、今日はビームライフルをご用意しました。まず水田選手の手本を見てください。

 なかなか見る機会がない射撃の競技ルールはあまり知られていない。水田選手が出場するエアライフル種目は10m先の的の中心(直径0.5mm)を狙う種目で、そのど真ん中に的中すれば10.9点満点。そこから0.25mmずれるごとに10.8点、10.7点と0.1点ずつ減点されていくルールだ。60分間で60発を撃ち続ける集中力と精神力が求められるメンタル競技といわれている。

水田:(静かに射撃に入る。場内に乾いた「パーン」という銃声が響きわたる)

松岡:10点だ! 大当たりじゃないですか!

水田:10点圏には入っていますが、小数点表示だとちょっと……。

鳥居:かつては10点が満点だったんですが、近年、選手の技術が全体的に上がって10点満点を出す選手が増えたので、今は10.0~10.9点に分けているんです。ちなみに水田選手の中の「当たり」は10.6点以上なんですよ。

松岡:そんなに高得点なの!? パラ射撃の枠を超えて、オリンピックの射撃でも戦えるんじゃないですか?

【次ページ】 射撃に初挑戦!「意識が的に集中する感覚が心地いい」

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