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130試合目でプロ初勝利 DeNAの“優しい男”平田真吾が明かす「今日打たれたら…ファームだ」から脱出できた理由
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/02/12 17:35
沖縄県宜野湾市で行われている横浜DeNAベイスターズの春季キャンプ。クローザーの三嶋一輝やセットアッパーの石田健大といった主力リリーフ陣と同じ班で汗を流す平田真吾の姿が
「僕は入り込む癖があるというか、抑えたいという気持ちが強すぎると力んでピッチングがダメになってしまうんです。必要なのは常に一歩引いた目線で投球をすること」
かつてはマウンドに上がると、ある言葉がいつも頭の中をリフレインしていたという。
「今日打たれたら……ファームだ」
以前の平田は対戦相手と自分の心と戦いながらマウンドに立っていたが、好調だった昨シーズンは先ほど述べたようにバッターだけに集中することに成功し、本来のピッチングを発揮するに至った。
NPB史上3番目に遅い「プロ初勝利」
そんな平田の歩みがひとつの成果として結実したのが10月7日の巨人戦におけるプロ初勝利である。先発ローテーションが苦しいなか平田がプロ入り2度目の先発マウンドに立ち5回2失点で勝ち投手になった。通算130試合目の初勝利であり、NPB史上3番目に遅い記録となった。試合中にはSNSで『#平田真吾初勝利チャレンジ』というハッシュタグがトレンドランキングで2位になるなどファンの間では盛り上がった。
平田はプロ初勝利について、照れくさそうな表情を浮かべながら答えてくれた。
「中継ぎなので、それほど勝ち星にこだわりはないんですが、ただ0勝のままでは終わりたくはありませんでした。だから、とりあえずひとつ勝ててよかったです」
やっぱり“やっと”という思いは強いですか、と尋ねると、平田は実感を込め言うのだ。
「そうですね。“やっと”という感じですね」
しみじみとした余韻。だが次の瞬間、平田は今シーズンを見据え口調を変えた。
「けれど、もっとホールドを稼ぎたいですね。今シーズンはそういった場面でもっと投げられるようにコンディションを整えていきたい。しっかり1年間、戦い抜きたいと思います」
平田がマウンドに立てば大丈夫――。
そんな姿を今シーズンもぜひ見せて欲しいものだ。