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【箱根駅伝】國學院大がライバル帝京大に「勝ってください」と告げたワケ 両校の“因縁”はなぜ始まった?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2021/01/22 11:02
帝京大・山根昂希と國學院大・木付琳はそれぞれ8位と9位でゴールテープを切り、昨年に続いて連続する順位となった
前田は指導者として中野に憧れていた
実は、前田にとって中野は憧れの指導者だった。
昨年末に刊行された前田の著書によると、前田が監督に就任したばかりの頃、帝京大駅伝競走部のホームページを見ては中野が箱根駅伝に向けてどのようにレース計画を組み立てているのか、レース結果を全て紙に書き出していたという。また、中野がどういう特徴の選手を好んでスカウトしているのかを研究し、チーム再建の参考にしてきた。
奇しくも、前田が初めて指揮をとった箱根駅伝では、1区間ごとに抜きつ抜かれつのレースを展開している。1区、3区、5区と奇数区間では國學院大が先行するも、2区、4区、6区では帝京大が負けじとリードを奪い返していた。この時は國學院大が10位に食い込んだのに対し、帝京大は最終区で順位を落とし13位に終わったが、この時から両校の“因縁”は始まった。その後は、箱根駅伝本戦に限らず、箱根予選会や全日本大学駅伝などでも、たびたび接戦を繰り広げてきた。
「もっと上のレベルで戦いたいね」
中野と前田は14歳も歳が離れながら、互いに認め合う仲だ。昨年はマネージャー同士を短期間“交換留学”するなど、新たな試みも行っている。
駅伝ではバチバチと火花を散らせる好敵手。中野は「もっと上のレベルで戦いたいね」と話すが、以前は両校ともシード権争いの真っ只中だったのが、ここ2大会はシード権圏内で好勝負を見せており、以前よりもレベルアップを果たしているのは確かだろう。近い将来には、この両校が優勝争いを繰り広げる場面が、箱根駅伝で見られるかもしれない。