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佐藤寿人「今だけ良くてもダメ」、曽ケ端準「ミスをしたときこそ…」Jを去る男たちが悩み、考えていたこと
posted2021/01/18 17:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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J.LEAGUE
<名言1>
今だけ良くてもダメなんです。これをずっと続けないと。来年も、再来年も。
(佐藤寿人/Number816号 2012年11月8日発売)
浦和レッズの失速により、サンフレッチェ広島とベガルタ仙台の一騎打ちとなった2012年のJリーグ。リーグ創設時に参加した“オリジナル10”のチームで唯一、3大タイトル(Jリーグ、ナビスコカップ、天皇杯)を得ていなかった広島は、第33節セレッソ大阪戦での勝利で悲願の初タイトルを獲得。そのチームを牽引したのが佐藤だった。
第25節で首位の座を奪い返したことで「いよいよ優勝へ」というムードも漂う中、稀代のワンタッチゴーラーは自分を戒めることでチームを引き締めた。シーズンが終わってみれば、自身初となる得点王に輝いたほか、最優秀選手賞、フェアプレー賞、ベストイレブンと個人タイトルを総なめ。広島の初タイトルは佐藤の活躍なしには成し遂げられなかっただろう。現状に決して満足しないマインドはチームに根付き、翌年もJリーグを制している。
大久保嘉人に次ぐJ1通算161得点
2020年12月26日、プロ生活21年を終えたタイミングでスパイクを脱ぐことを決断した佐藤は、引退会見で「幸せでした」と振り返っている。
身長170センチと小柄ながら、裏に抜け出す動きとラストパスへの嗅覚鋭い反応でゴールを量産。積み重ねたゴールの数は220、J1通算161得点は大久保嘉人に次いで歴代2位の数字だ。04年から15年に至ってはJ史上初の12年連続2桁得点を記録するなど、アベレージの高いゴールゲッターだった。
ここまでの長きにわたって数字を残せたのは、どんな時も驕らず愚直にゴールを追い続ける謙虚な姿勢があったからだろう。ストライカーの仕事は、ゴールを決め続けること――矢印を常に自分に向ける姿は後続のFWに大きな指針を与えた。