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「チャンスは決して平等ではありません」DeNA田中浩康コーチが明かす厳しいファームの競争と“期待の若手”
posted2021/01/15 17:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
「監督が代わるタイミングというのは選手にとって非常に大きなチャンスでもあるんです。1人でも多くの若い内野手が一軍で通用してくれたら……。ただ本当にチャンスは少なく、限られていると思います。なんとか掴んでもらいたいですよね」
横浜DeNAベイスターズの田中浩康コーチは実感を込め、まるで我が事のようにそう語った。
プロ野球は“特別な世界”だと思い知った1年
ファームの内野走塁コーチになって今シーズンで2年目。プロ野球の指導者としてスタートを切った昨シーズンはコロナ禍もあり一事が万事手探り状態だったという。育成を主とするファームのコーチとして自分はなにをすべきなのか? 常に自問自答しながらの指導だった。
「コーチになるにあたって球団から要望されたことは、若手を鍛え育てて欲しいということでした。僕も、若い選手にとって特に1、2年目は大事な時期だと現役時代から思っていたので、これは重要な役割をいただいたなと相当に覚悟しました」
現役時代の田中は、2004年のドラフト会議で自由獲得枠により早稲田大学からヤクルトスワローズに入団。主に『2番・セカンド』として活躍し、ベストナインやゴールデングラブ賞などに選出される確実性の高い選手としてチームを支えてきた。
そして2016年シーズン後に戦力外通告を受けると新天地を求めDeNAへ。若い選手の多いチームにあって経験豊富な田中は戦力としてはもちろん若手へのアドバイス、さらにメンタルの部分でも同僚を支え、チーム全体のブラッシュアップに貢献している。
DeNAでは2シーズンを過ごし2018年シーズンを最後に引退。その後はプロの世界から離れ母校である早大の大学院修士課程でスポーツビジネスについて学び、さらに同大野球部のコーチに就任し、後輩たちの指導に当たった。わずか1年間の外の世界であったが、大きな経験だったと田中は語る。
「主にスポーツマネージメントを学んだのですが、やはり学生を教える機会をいただいたのは貴重な体験でしたし、ファームでの指導にも活かしています。また試合中継の解説者などもやらせていただき、それも含め充実したインプットができたんですよね」
そして、しみじみとつづけるのだ。