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野球は「青春ドラマ」に向かない? レジェンド高瀬昌弘監督が語っていた“ラグビーの扱いやすさ”とは 

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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posted2021/01/09 11:00

野球は「青春ドラマ」に向かない?  レジェンド高瀬昌弘監督が語っていた“ラグビーの扱いやすさ”とは<Number Web> photograph by Kyodo News

全国初制覇に涙する『スクール・ウォーズ』のモデルになった伏見工業。ドラマ制作陣にとってもラグビーはうってつけの素材だったようだ

 こうした「青春ドラマのスポーツといえばラグビー」という積み重ねを経て、昭和59年10月、今もラグビードラマの代名詞であり続ける『スクール・ウォーズ』(TBS)の放送がスタート。大映テレビの制作だけあり、大仰かつ過激なセリフと描写が多かったが、多くの青春ドラマがスポーツ題材モノから恋愛モノへとシフトしつつあった80年代において、そのインパクトと影響力は絶大だった。ラグビーが、ほぼ高校からスタートするスポーツであることもあり、この放送翌年(昭和60年)の高校ラグビー部の入部志願者の多さは、今も各高校で伝説となっているはずだ。

 きっかけこそ石原慎太郎が小説に採用したことだったが、この小説がドラマ化されたことによって、ラグビーとテレビドラマの親和性の高さに東宝系の制作陣が気づくことになったのが「青春ドラマ=ラグビー」の流れを生み出したのだった。

「ラグビーこそ青春ドラマの王様」

 前述の高瀬監督との会話から気づかされたのだが、スポーツの数は多かれど、実際にドラマ化するとなると、さまざまな条件がネックになってしまうようだ。

 野球=スポーツ中継には良いが、ドラマ化するには感情が競技的にも見えづらい。バスケットボール、バレーボール=基本、室内競技なので太陽の下でというシーンが撮りづらい(70年代当時のドラマはビデオ撮影ではなく、フィルム撮影のテレビ映画だった)。剣道=面によって俳優の表情が隠れてしまう。アメフト=俳優の表情が隠れる上、出演者の人数分の道具を集めるだけで予算がかさむ。あらゆる格闘技=俳優の経験値に頼る部分が大きく、基本動作として顔が隠れてしまうことが多い。水泳=プールのシーンに限定されがち。陸上競技=俳優の経験値に左右されつつ、競技的にドラマが単調になりがち……などなど。

 実際にこれらのスポーツを題材にした青春ドラマも存在はしたが、昭和40年代に日本テレビが敷いた「ラグビー&サッカー路線」を切り崩すまでの人気は得られなかった。1回完結の映画ならばOKでも、毎週放送の連続ドラマとなると、視聴者に飽きられないための工夫が必要不可欠。その辺のさじ加減もありつつ、「ラグビーこそが青春ドラマの王道」という時代が続いたのだった。

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