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野球は「青春ドラマ」に向かない? レジェンド高瀬昌弘監督が語っていた“ラグビーの扱いやすさ”とは
text by
高木圭介Keisuke Takagi
photograph byKyodo News
posted2021/01/09 11:00
全国初制覇に涙する『スクール・ウォーズ』のモデルになった伏見工業。ドラマ制作陣にとってもラグビーはうってつけの素材だったようだ
3年後の昭和46年からは松竹制作で、森田健作主演の『おれは男だ!』で日曜夜8時の学園青春ドラマシリーズが再開。しかし、この作品は原作である津雲むつみ作の少女漫画の通りに剣道が採用スポーツに。
次作の村野武範主演の『飛び出せ!青春』でまた、制作が東宝に戻り、捲土重来とばかりにサッカーが採用。主演の村野はサッカーの素人で、生徒のサッカー部員たちも片桐役の剛たつひと、山本役の保積ペペ以外はサッカー経験のない俳優が集まっていたが、ドラマは大人気に。
第1回放送(昭和47年2月20日)から2回目(2月27日)にかけた時期、世間は「あさま山荘事件」に震撼しており、国民のほとんどがテレビで事件の経過を追っていた。機動隊が突入(2月28日)するタイミングがほんの少しズレていたら、『飛び出せ!~』も、メキシコ五輪中継に潰された『進め!~』と同様、不運な結果に終わっていた可能性もあった。
松竹制作の『おこれ!男だ』を挟み、昭和49年4月放送開始の中村雅俊主演の『われら青春!』で、日曜夜8時シリーズのラスト、有終の美とばかりにラグビーが採用。この作品では学校を去ろうとする先生(中村雅俊)と、それを止めようとするラグビー部員たちが、駅のホーム(JR中央本線の四方津駅で撮影)の両側で、線路を挟みつつラグビーボールをパスし合って心を通わせるという名場面が誕生している。足でボールを蹴るサッカーではそうはいかない。そもそも現在では、こんなシーンの撮影自体、鉄道会社からの許可が下りないだろう。
フジテレビ放送の森田健作主演『あしたに駈けろ!』(昭和47年)でもラグビーが採用されており、こちらは御前様こと笠智衆がラグビー指導者として、ジャージ姿でグラウンドに立つという驚きの珍品。宮内淳主演の『あさひが丘の大統領』(昭和54年・日本テレビ)でも、あの「2時間ドラマの女王」こと、片平なぎさがラグビー部長としてグラウンドを走り回っていたものだ。
再放送効果もあり部員増
オンデマンドなんて夢また夢の遠い未来。まだ家庭用ビデオデッキが普及していない時代、これらの青春ドラマが夕方や午前中、はたまた深夜帯に延々と再放送され続けた効果は大きかった。これらドラマを視聴しては、ラグビー部やサッカー部に入部する中学生、高校生は実に多かったのだ。