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チャンピオン井岡一翔が犯したミスは2つだけ 田中恒成の「人生をかけた」試合で見せつけた“格の違い”

posted2021/01/01 17:08

 
チャンピオン井岡一翔が犯したミスは2つだけ 田中恒成の「人生をかけた」試合で見せつけた“格の違い”<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

井岡一翔は5回に続いて6回にも田中をダウンさせ“レベルの違い”を見せつけた

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Yamaguchi

 2020年の国内ボクシングの掉尾を飾る大一番が大みそか、東京・大田区総合体育館で行われた。WBO世界スーパー・フライ級タイトルマッチ、世界4階級制覇の井岡一翔(Ambition)と3階級制覇の田中恒成(畑中)が激突する好カード。“史上最高の日本人対決”とも銘打たれた一戦は、チャンピオン井岡の快勝という結果に終わった。

 これだけはっきりと差が出るとは思わなかった。

 戦前の予想は拮抗していた。選手やトレーナーの予想はやや井岡有利に傾き、ファンにいたっては「田中が勝つのではないか」という予想のほうが多かった。専門誌「ボクシング・ビート」がツイッターで直前に実施したアンケートでは、田中の勝利を予想する人が61.9パーセントで38.1パーセントの井岡を大きく引き離した(投票総数1843票)。

犯したミスは2つだけ

 拳の重みが違う。

 試合が終わった今、井岡がインタビューで口にした言葉に試合の中身が凝縮されていたように思える。井岡の歩んできたキャリアが、くぐってきた修羅場の数が、強豪たちと競り合ってきた経験が“拳の重み”の差になったのではないかと――。

 打倒井岡に燃える田中はスタートから飛ばした。ハンドスピードとフットワークの速さに絶対的な自信を持つ田中はいきなり鋭いジャブ、ワンツーを井岡の顔面に打ち込んでみせる。2回には再び井岡に右ストレートを浴びせ、井岡の左目下が早くも腫れた。

 互角と見えた立ち上がりだったが、井岡に言わせれば「最初から余裕を持って戦えた」となる。初回にもらった右ストレートは「(相手の右ストレートに左フックを)当てられると思って合わせてしまった。あれは出してはいけないフック」という自分の間違い。2回にもらった右ストレートは「田中くんの右が思った以上に伸びてきた」という誤算だった。

 つまり、犯したミスは2つだけだった。

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