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相澤晃、三浦龍司…のちの箱根駅伝エース、スーパールーキーたちは進学先をどう選んだ?【高校時代秘話】
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byYuki Suenaga
posted2021/01/03 17:01
相澤晃(左)と伊藤達彦。各校の名を代表するエースとして箱根駅伝で競い合い、卒業後も互いに高めあっている
吉居は箱根駅伝に対する強い憧れはなかった
5000mでU20日本記録を二度塗り替えて、日本選手権で3位に食い込んだ中大・吉居大和は、藤原正和駅伝監督の指導理念に感銘を受けたようだ。
「高校時代に中大の合宿に参加させていただく機会があり、競技に集中できるかなと感じました。藤原監督ともお話をさせていただき、競技面でも人間面でも成長できるかなと思ったんです」
吉居は両親がトヨタ自動車の元実業団選手。箱根駅伝への強烈な憧れはなかった。一方で、「世界で戦いたい」という気持ちは強い。藤原監督も吉居を箱根駅伝で“消耗”させるつもりはない。
「今の段階では、ロードで勝負させようという気持ちはありません。トラックでどれだけのタイムが出せるのか。今の彼にはそちらの方が大切です。東京五輪を狙える位置にいますが、本当のターゲットは2024年パリ五輪、2028年ロス五輪になってきます。年代にあった身体作りを4年間やって、将来は世界と戦えるような選手になってほしいと思っています」
箱根駅伝のためではなく、世界を目指す。そういうコンセプトのもとで吉居は走っている。
大卒初任給を超える“強化費”をもらう選手も?
高校生からすれば、「憧れの選手と一緒に走りたい」「尊敬する監督の指導を受けたい」という希望が最も強い。しかし、家庭の事情もある。金銭的な援助が必要な選手は授業料免除などのサポート体制が厚い大学を選んでいる。筆者が学生だった1990年代後半は、授業料免除の選手は各校数人しかいなかった。現在は各校とも大幅に増加。その“中身”も変化している。なかには授業料免除だけでなく、大卒初任給を超える“強化費”を受け取っている選手もいるようだ。
以前、青学大・原晋監督は、「強い選手を勧誘するのではなく、強くなりそうな選手を勧誘するんです」と力説していた。同じ箱根駅伝を目指す大学でもそれぞれカラーが異なる。甘い誘惑に負けず、高校生ランナーには自分とマッチする大学を選んでいただきたい。