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藤井聡太の完璧さに「マジック」はない 天才棋士の台頭に思い出す、若き羽生善治の“伝説”とは
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byShigeru Tanaka/Kyodo News
posted2020/12/23 11:01
羽生善治(左)と藤井聡太。2人の棋士に触れた人々が持つ感情は、尊敬を超えて畏怖の境地ともいえる。
「羽生マジック」に比類する表現は
藤井聡太の将棋は、まさにこの時代に合わせて出現したものと言えるかもしれない。
難解極まりない終盤戦で、AIが指摘する最善手を、見事なほどに追い続けられる正確さが、評価値によって視聴者に伝わってくるのが新しいのだ。
その昔、「羽生マジック」と恐れられた逆転術に比類する表現は藤井聡太にはまだないとはいえ、それが必要ないほどの完璧さが、信じられないほどの高勝率をガッチリと支えている。
彼の天才性を表す言葉は、まだない。