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【M-1グランプリ展望】ニューヨーク&見取り図ら再挑戦組か、錦鯉など初出場勢か…決勝9組の見どころ紹介
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byM-1グランプリ事務局
posted2020/12/20 06:00
M-1グランプリ2020で決勝進出したメンバー
結成12年目のウエストランドも嬉しい初出場。爆笑問題と同じ事務所のタイタンに所属する彼らは、ぺこぱの“誰も傷つけない笑い”とは反対に、ツッコミの井口浩之があらゆる方面に噛みついていくスタイル。さらに自虐ネタややっかみ、愚痴も混ぜながら畳み掛けてきて、そのスピード感は爽快だ。
初出場組で最後に紹介するのは、25歳のたけると26歳のショーゴの東京ホテイソン。備中神楽の囃子ことばをアレンジしたツッコミがトレードマークだが、準決勝ではそこにひと捻り加えた完成度の高いネタを披露し、爆笑をさらった。優勝すれば、2018年大会で霜降り明星が樹立した最年少記録を更新することになる。
ブラマヨ、霜降り、ミルクボーイら半数以上が初出場王者
確率論で言えば、ここに挙げた4組の中から王者が生まれても不思議ではない。
M-1グランプリは2001年からこれまで15回を重ねてきたが、実は半数以上が初出場にして王者に輝いているからだ。
第1回大会の中川家を除き、ブラックマヨネーズ、サンドウィッチマン、NON STYLE、パンクブーブー、トレンディエンジェル、とろサーモン、霜降り明星、ミルクボーイと8組もいる。2015年に5年ぶりに大会が復活してからは5大会中、実に4大会で初出場王者が誕生している。新鮮さやインパクトが得点に大きな影響を与えるからだろうか。
見取り図は3度目の挑戦、ニューヨークに勢い
むしろ、連続して決勝に進出し、右肩上がりに成績を上げて頂点を掴むほうが難しい。これまでのスタイルに、いかに新味を加えるかが問われるからだ。
その困難に挑戦するのは、3回連続出場となる見取り図だ。リリーの味のあるボケに対して、盛山晋太郎が癖になるハイトーンボイスと独特のワードで突っ込む“しゃべくり漫才”。9位、5位と順位を上げてきた。3度目のチャレンジで、悲願の戴冠を目指す。
“勢い”という点では、ニューヨークを本命に推す声も多い。1組目で登場した前回大会では、審査員の松本人志に「笑いながらツッコむの、好きじゃない」と言われて最下位に沈んだが、9月の『キングオブコント2020』で準優勝。『アメトーーク!』をはじめ、地上波のバラエティ番組出演も増えている良い流れで今大会を迎えた。準決勝では登壇した瞬間から会場の空気が変わり、何を言っても面白くなる、という雰囲気に包まれたのが印象深い。