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長谷部誠36歳、“サッカーは30歳までの競技”説を覆す 指揮官が「ベストのプロ」と絶賛の頭脳と肉体 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/11/28 11:00

長谷部誠36歳、“サッカーは30歳までの競技”説を覆す 指揮官が「ベストのプロ」と絶賛の頭脳と肉体<Number Web> photograph by Getty Images

会見でも堪能に言語を駆使する長谷部誠。ヒュッター監督からの視線には厚い信頼を感じる

 そうなるとフィジカル的な負担が大きくなるため、自然と多少の無理がきく若手選手が起用されるケースが多かった。

 30代になるとポジションがなくなる――。

 それまでは、1部で厳しいなら2部という流れがあったが、当時は2部でもハイインテンシティがスポットライトを浴びていたために、そこでも契約が取れない。プロサッカーは限られたごく一部の選手を除いて、30歳までのスポーツという風潮さえあった。

「ベストベテラン選手」は難航したが

 僕は、とある雑誌の企画で毎年ブンデスリーガベストプレーヤーを、親交あるドイツ人指導者、ジャーナリストと選考している。項目の1つに「ベストベテラン選手」があり、33歳以上の選手からベスト3を選ぶわけだが、これがいつも大変だった。条件に該当する選手が極めて少なかったからだ。

 だが、最近またベテラン選手の立場が少しずつ変わってきている。今季ブンデスリーガ最年長選手である長谷部誠をはじめ、35歳以上が7選手、33歳以上の選手になると16人が出場機会をえている。31歳まで年齢を下げると、実に49人にのぼる。

クルーゼ、レバンドフスキらも30代

 ベテラン選手の多くが、現在も主力として活躍しているところに注目したい。

 長谷部はフル出場を続けているし、同僚のダビド・アブラアム(34歳)はいまもチーム最速選手の1人だ。遠藤渓太が所属するウニオン・ベルリンではクリスティアン・ゲントナー(35歳)、クリストファー・トリメル(33歳)、アンドレアス・ルーテ(33歳)が存在感を示し、マックス・クルーゼ(32歳)も安定感をもたらしている。

 シュツットガルトのゴンサロ・カストロ(33歳)はキャプテンとして昇格チームを牽引。絶対王者バイエルンでもマヌエル・ノイアー(34歳)、ジェローム・ボアテンク(32歳)、ロベルト・レバンドフスキ(32歳)、トーマス・ミュラー(31歳)が健在だ。

 彼らベテラン選手は、なぜ、重用されるようになってきたのだろうか。

【次ページ】 開幕戦の雑誌で語っていた自身の変化

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