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JCで牡牝無敗3冠馬を迎え撃つ! アーモンドアイが3冠達成時にルメールが語ったこと
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/11/27 11:00
レースを終えて、クリストフ・ルメールは大きく息を吐いた。アーモンドアイに三冠を取らせる責任を感じていたのかもしれない
前の馬たちに大きな差をつけられ、その瞬間…
「3、4コーナーで前の馬が進んで行かなかったので、大外に出した。コーナーが狭いので加速したときちょっとバランスが悪くなったけど、直線での瞬発力がすごかった」
そう話したルメールは、4コーナーに入ってもまだ手綱を持ったままで、前の馬たちと大きな差があっても落ち着いていた。
手が動いたのは、4コーナー出口付近のラスト400m地点からだった。とはいっても、ステッキは入れず、促す程度の控えめなゴーサインだった。それでも十分届くという自信があったのだろう。
「今日の瞬発力は素晴らしかった。まだ信じられない。反応が速くて力強かった。もっと強くなったら、飛びます」
大外からアーモンドアイが別次元の末脚で伸びる。大きなストライドで、面白いように内の馬たちをかわしていく。
ラスト150m地点でミッキーチャームに並びかけたとき、手前を右に戻し、やや内に刺さり加減になった。
それを修正するためか、ルメールが2発、右鞭を入れた。
アーモンドアイは最後まで伸びつづけ、2着のミッキーチャームに1馬身半差をつけてフィニッシュした。
「今の日本で一番強い。特別な馬です」
勝ちタイムは1分58秒5。上がり3ハロンはメンバー最速の33秒6。デビューから6戦すべてのレースで上がり最速を叩き出している。
「アーモンドアイはファンタスティックホース。今の日本で一番強い。特別な馬です」と誇らしげに言うルメールが、馬を信頼し切って騎乗しているからこそ、この末脚を引き出すことができているのだろう。
自身が騎乗し、2009年のジャパンカップを勝つなどしたウオッカとの比較に関しては「能力は同じぐらい。加速、瞬発力、スタミナ、スピード、全部あるから、ウオッカと同じ」と語る。
アーモンドアイは、1986年メジロラモーヌ、2003年スティルインラブ、'10年アパパネ、'12年ジェンティルドンナに次ぐ三冠牝馬となる偉業を達成したわけだが、GIを7勝したウオッカ同様、もっと上のゴールを目指せる馬であることは間違いない。