情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
クリケット世界最高峰を目指す40歳元プロ野球選手が“コロナでピンチ”でも情熱を持ち続けられるワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/11/25 17:01
現在は「ワイヴァーンズクリケットクラブ」でプレーしている木村
ブログのコメントにメチャクチャ、ショックを受けた
「背番号66に対する思い入れが凄く強いので、移動の際に羽田空港の搭乗ゲートが66番だったんで嬉しいです、みたいな内容を書いたんですよ。そうしたら読んでくれた方の反応で『そんなことどうでもいいから頑張って』みたいなコメントがあって。何かメチャクチャ、ショックを受けて。そこからもう自分で発信するのってやめようって」
でもその考え方も変わった。しっかり伝えたいものが自分のなかにできたからだ。自分が発信するものに対してどんな反応があろうとも、揺らぐことはなくなった。
クリケットに転向して、収入はドンと減った。だがこういった発信は、収入ありきの話ではない。あくまでクリケットで成功するため、あくまでアスリートとしての自分の価値を上げるための刺激を求めるアクションである。
ちょっとでもクリケットに注目を、ちょっとでも木村昇吾に注目を。
人を振り向かせようとするなら、トレーニングに対しても、自分の夢に対しても、発信に対しても一切、手を抜くことなどできない。コロナ禍のなかであってもそうやって日々、刺激を自分に与えてきた。
パッションを持ってやり続けていくべき
今年、スリランカの名門「シンハラスポーツクラブ」で練習していた際、仲良くなったチームのトップ選手が木村に意見を求めてきたことがあった。彼は消極的な若手選手の姿勢に「どうして君たちは失敗を恐れるんだ!」と声を張り上げていた。
「ショウゴはどう思う? 俺が言ったことはグッドか? それともノーグッドか?」
木村は即答した。「グッド」だと。
「彼は大事なのはパッション(情熱)だと言っていました。世代交代をしていくなかで、自分たちで引っ張っていくというパッションが何より大切なんだ、と。失敗は当たり前。恐れないでパッションを持ってやり続けていくべきなんじゃないか、と」
木村の心にもグサリと刺さった。
パッションに年齢は関係ない。道を切り拓いていくには、それこそが大事なのだ、と。