情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
クリケット世界最高峰を目指す40歳元プロ野球選手が“コロナでピンチ”でも情熱を持ち続けられるワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/11/25 17:01
現在は「ワイヴァーンズクリケットクラブ」でプレーしている木村
「スポーツって季節ごとなんだなって」
「オーストラリアに行ったとき、チームメイトから『ショウゴ、ラグビーをやろうぜ』って誘われたんです。『いやいや、やったことないし無理だよ』って断ったら、不思議そうに見られて(笑)。
海外では、スポーツって季節ごとなんだなって実感しましたよ。クリケットがオフになったらラグビーをやるわけですから。カープ時代にブライアン・バリントンっていうピッチャーがいましたけど、彼はバスケットもやっていたんですよね。NBAに行けるくらいの実力があったと聞いています。あのウサイン・ボルトもクリケットをやっていたとか。
僕、1つの競技を突き詰めることが正しいんじゃないかって思っていましたけど、クリケットをやってから考えが変わってきたんです。俺、足はまあまあ速いからラグビーやっていたらどうなってたんやろう、とか。だって正解は分からないわけじゃないですか。
日本では俺みたいに野球一筋っていう子供たちが圧倒的に多いと思うんですよ。元プロ野球選手が違う競技をやってみて感じたこととして、いろいろやってみると可能性が広がるよって、そんなメッセージを俺だから発信できるかもなって。そんなことを考えるようにもなりました」
野球とクリケットをテーマにオンラインサロンも開設した
自分の言葉に説得力を持たせるにはクリケットでの活躍が一番。しかしそこがストップしている以上、自分の知名度や発信力を高めていく活動をしてみてもいいのでは、と考えた。
YouTubeではクリケットを紹介するチャンネルと野球指導のチャンネルの2つをつくった。野球とクリケットをテーマにオンラインサロンも開設した。知名度や発信力を高めていけば、日本ではマイナースポーツのクリケットの認知度を広げられる。そのために野球が入り口になるのであれば利用していく。両方やることに意味があると感じた。
元々、アスリートが発信することには抵抗があった。プロ野球選手時代に始めたブログにちょっとした苦い思い出があるからだ。