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ベイスターズ一筋16年、戦力外通告・石川雄洋が明かすファンへの思い「横浜で優勝したかった…」
posted2020/11/19 17:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
16年間在籍したベイスターズを退団し、現役続行を目指す石川雄洋内野手。低迷期の横浜時代からチームを支え続けてきた男はなぜ、決断を下したのか。一度も一軍に呼ばれることがなかったこの1年の苦闘と、チーム愛、挑戦への思いをNumberWebのインタビューで明かした。
「自分の状況や年齢、コロナの状況を考えれば可能性は低いだろうな、というのはわかっています。どこからも話が来なければ引退するしかない。それでもやっぱり、今年1年、大きなケガはなかったのにオープン戦から1試合も一軍でプレーできなかった悔しさがある。最後の最後まで、可能性があればどこかでプレーしたいという思いで現役続行という結論を出しました」
地元の横浜高校から2005年に横浜入団。チームがDeNAとして生まれ変わった12年には初代キャプテンをつとめた男はいま、横須賀市の二軍施設で黙々と汗を流している。「少しやせたでしょ?」と精悍さを増した頬をさする。構想外を告げられての心労……ではない。プレーできる「来季」を信じて身体を絞っているのだという。
「野球は今まで通り。でも精神的に結構きつかった」
今季は2月のキャンプインから一度も一軍に呼ばれなかった。これは、ルーキーイヤーの2005年以来のことだった。
「野球は今まで通り自分のできることをしていたんですけど、精神的に結構きつかった。すごいきつくはないけど、きついみたいな感じ」
イースタン・リーグの出場成績は36試合で106打数24安打、打率.226。本職の二塁以外にも、一塁や外野でも出場した。
「ファームには、若い選手の育成という目的がある。最初はコーチに言われて、ですが、自分が出るチャンスになるんだったら、少しでも選択肢があったほうがいいのは事実。自分の勉強にもなったし、ファーストや外野の守備をすることはいい経験になったと思います」