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ドラフトウラ話 7年ぶりの”西武1位野手”「山川・中村・渡部が並んだ打線を早く見てみたくないですか?」
posted2020/11/19 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
2020年ドラフト会議にて、埼玉西武ライオンズは桐蔭横浜大学の渡部健人内野手を1位で指名した。ライオンズのドラフトにおいて、野手が1位で指名されるのは2013年の森友哉以来、7年ぶりとなる。潮崎哲也編成グループディレクターは語る。
「(1巡目指名で抽選となった)早川(隆久)君は、貴重な左ピッチャーですし、今年の候補選手の中でずば抜けて良い選手だということで、少しでも左投手が欲しいうちとしては『行くだけ行ってみよう』と……。ただし今年のドラフトに関しては、野手を中心に獲得に動こうという球団の方針は決まっていました。
ですから(渡部選手の1位指名は)狙い通りといえば狙い通り。球団としては大満足の結果です。(野手を指名する方針は)いちばんはレギュラーの高齢化で、次世代、打線の中心になる選手を獲得していかなければいけない。いくら中村剛也、栗山巧ががんばっているとはいえ、彼らの30代後半という年齢を考えるとどうしても次の世代を考えないといけないからですね」
投手中心の指名が続いた西武
野手中心という方針は今年のドラフト全体に、顕著に表れていた。
2位こそ投手の佐々木健を指名したものの、3位指名の山村崇嘉、4位指名の若林楽人、6位指名のタイシンガー・ブランドン・大河、7位指名の仲三河優太と7名中5名が野手。育成でも2名の野手を指名している。
11月11日には今シーズンから新設された三軍に、嶋重宣二軍打撃コーチを野手担当コーチとして配置転換することが発表された。その人事にも野手をじっくり鍛えたいという意思が見える。
近年は投手中心の指名をしていたライオンズだが、ドラフト1位で指名した高橋光成や松本航がここへきて先発ローテーション入りを確実にし、宮川哲(2019年1位)、浜屋将太(2019年2位)ら社会人卒の投手も即戦力として一軍で活躍した。なおかつ、たとえ下位指名であっても平良海馬(2017年4位)や森脇亮介(2018年6位)のように一軍の戦力となる投手も台頭しており、当面は現有戦力の強化という形で投手陣が整備できそうだ。
一方、野手は2013年の森、2016年の源田壮亮を除くと、一軍で活躍するまでには、やはり相応の年月を要している。2013年2位の山川穂高がプロ入り5年目にして、2014年ドラフト3位の外崎修汰がプロ入り3年目にして一軍で100試合以上に出場したことを考えても、プロの投手に慣れるまでに時間が必要であることは明確だ。今年は野手中心で指名し、数年後に世代交代ができるよう備えるという方針に切り替えたのもうなずける。