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なぜBTSはこんなに応援したくなるのか……「アスリートとファンの構造」に通ずる“4つの理由”
posted2020/11/20 11:03
text by
竹田ダニエルDaniel Takeda
photograph by
Getty Images
8月21日にリリースしたシングル『Dynamite』で世界中を席巻している韓国発の7人組ヒップホップアイドルグループ・BTS(防弾少年団)が日本国内でも大きく話題になっている。米国ビルボードのグローバルチャートの首位に立ち、最も名誉あるBillboard Hot 100では首位を3度も獲得した。本日20日には、待望のニューアルバム『BE』もリリースされ、その支持層と影響力は急速に広がりつつある。
今や世界的トップスターとなった彼らの「人気・成功の理由」を語る記事は多いが、実際に彼らを高みまで押し上げてきたファンたちは、なぜBTSを「応援」したいと思うのだろうか――。筆者は『Dynamite』をきっかけにBTSファンになったが、私たちファン(通称・ARMY)とBTSの関係は、一般的な芸能人とファンというよりも、“アスリートとファン”の関係性にどこか似ている気がする。
今回は、筆者が独自にSNSで募集した「BTSを応援したくなる理由は?」というアンケートをもとに、人間としてもリスペクトできるトップアスリートをロールモデルとして捉えて応援するスポーツファンたちの心理と、BTSファンが類似する理由を4つのポイントにわけて紹介したい。
その1)アンダードッグから始まった成長物語である
不利な立場のチームや選手が試合で逆転優勝した際にファンが急増するなど、スポーツファンには「アンダードッグを応援したい」という心理が強く働いているという研究結果がある(https://www.vox.com/2015/3/20/8260445/underdogs-psychology_)。
そして、BTSの物語も“アンダードッグ”として始まっている。
所属する韓国の芸能事務所・BigHitエンターテインメントは彼らのデビュー当時、K-POP業界で「3大事務所」とされているSMエンターテインメント、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメントとは比較もできないような弱小事務所だった。そのため「成功するはずがない」と言われ、なかなか露出の機会も得られなかったという。
そんな逆境の中でも、「韓国で大賞を獲る」「ビルボード1位」「グラミー賞が欲しい」と壮大な目標を明確にし続け、2016年には韓国最大級のMelon Music Awards 2016で、アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。今年2020年には、冒頭で紹介した通り、ビルボードのグローバルチャートで1位を獲得した。