「一方的に『楽しむ』だけでなく、『応援』したいのは人間的な魅力にあふれているからです。社会的な課題にも積極的に発言し、批判を受け止めて常にアップデートしようとする姿勢に希望を感じます。応援していて、がっかりすることがない安心感があります」（アンケートより）

　加えて、メンバー個人もそれぞれがチャリティ活動を行っており、社会貢献を行う社会のリーダーになろうという精神がグループ全体にある。こうした強い一貫性を持つ人間性が尊敬できるのも非常に大きな魅力だ。これはスポーツにおける“スポーツマンシップ”という言葉にも置き換えられるかもしれない。ファンはアスリートに「人間性」や「正しさ」を求める傾向がある。BTSのメンバーたちが体現する「人間としてのあり方」がファンのロールモデルとして機能していることは、これに似ていると言っても過言ではないだろう。

生みの親が語る“BTSが成功した理由”

　彼らをプロデュースし、世に送り出したパン・シヒョク氏は、BTSの躍進についてこう語っている。

「彼らは、若い世代が感じている痛みについて、恥ずかしがらずに語る。彼らは多様性と正義、若者や疎外された人々の権利を尊重している。これらすべての要素が彼らにとって有利に働いたのでしょう。個人的には、アートは革命を起こすための最強の媒体の一つだと思っているので、アーティストには社会問題について発言してほしいと思っています。彼らは発言したいときに発言してくれるし、私は彼らが何をすべきか、何をすべきでないかとは言いません」（米TIME誌のインタビューより）

　BTSの成長物語という壮大なストーリーの一員になることで、ファンも彼らと一緒に成長し、生きることができる。その根底には、彼らをロールモデルにしながら、窮屈で抑圧的な現状の社会をより良いところにしたい、もっと自分自身や周りの人を大切にしたい、そう願う人々の祈りが込められている。だからこそ、スポーツファンがアスリートたちを応援するのと同じように、ARMYたちはBTSを応援しようと思うのだろう。

『ビルボード・ミュージック・アワード』で4年連続トップ・ソーシャルアーティストを受賞した　©Getty Images