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なぜBTSはこんなに応援したくなるのか……「アスリートとファンの構造」に通ずる“4つの理由”
text by
竹田ダニエルDaniel Takeda
photograph byGetty Images
posted2020/11/20 11:03
8月にリリースした『Dynamite』はBillboard Hot 100で1位を獲得した
アンダードッグであったBTSが音楽業界で勝ち進んでいく姿に感銘を受けた人も多く、まさに逆境を跳ね返して有言実行するという“アスリートの成長物語”に共感する心理に近い。アンケートでも彼らの成長物語を理由にあげる人は多かった。
「本国で当初不遇の中でも、決して諦めず、自分たちの内発的なメッセージを音楽に込める事にこだわる。歌唱力やダンス、楽曲作りにまで研鑽を積み、世界を席巻していったストーリーは、この閉塞感のある時代に、眩しいほどの美しさと希望をもたらすものだと思う」(アンケートより)
その2)「試合」に向かうアスリートと応援するファン
彼らの最大の魅力として「パフォーマンス」をあげる人は多い。一糸乱れぬダンスや完成された楽曲とコンセプトは人気だが、『Dynamite』発売に合わせたインタビューで「ダンスの練習は1日18時間」とコメントしたことは大いに話題となった。ハードなトレーニングを重ね、ダンスや歌、ラップのスキルを磨き続ける姿はまさにアスリートと言えるだろう。
音楽市場では明確な選定基準が設けられていないものもあるが、ストリーミング数やセールス数、リスナーによる投票などによって受賞者が決定するものがほとんどだ。こうした賞レースにおいても、彼らの“アスリート性”に呼応したファンが必死に応援をし、成功を祈る構図がBTSとARMYにできている。
例えば、新曲が出るたびにSNS上ではARMY自らが毎週のストリーミング数や曲の販売数の目標を設定し、呼びかけをしている。人気投票で決まる音楽賞にもひとりひとりがコツコツと投票を促し、自らも欠かさずに投票を繰り返す。こうしてビルボードチャートの上位ランクインを祈る姿は、まるでオリンピックに出場する自国のアスリートを応援するファンのようだ。
彼らにとって、新曲の発売やBTSがパフォーマンスを披露するコンサートや参加する授賞式はまさに「試合」。現地に出向いたり、テレビの前で彼らのパフォーマンスを見ながら、良い結果が出ることをひたすら祈り、応援するのだ。
その3)「メンタル」について積極的に発信する
サッカー元日本代表キャプテンの長谷部誠選手の著書『心を整える。』は、「心は鍛えるものではなく、整えるものだ。いかなる時も安定した心を備えることが、常に力と結果を出せる秘訣だ」など、そのマインドフルネス的な自身との向き合い方が話題となった。また、元プロレスラー、ドウェイン・ジョンソンの「鬱と闘っていたときに最も重要だと実感したのは、自分は一人ではないということだ」という言葉も有名だ。