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ルメール「彼女は止まらなかった」 アーモンドと同い年、ラッキーライラックのエリ女連覇がすごい理由
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/11/16 11:31
第45回エリザベス女王杯を制したラッキーライラック。史上4頭目の連覇を達成した名牝はアーモンドアイと同い年だ
エリザベス女王杯が2200mになって最も速い時計
勝ちタイムは2分10秒3。舞台は異なるが、エリザベス女王杯が2200mになってから最も速い時計での決着となった。
ラッキーライラックは昨年のエリザベス女王杯で、2歳女王となった一昨々年の阪神ジュベナイルフィリーズ以来1年11カ月ぶりのGI勝利を挙げて“復権”した。そして今年、メジロドーベル、アドマイヤグルーヴ、スノーフェアリーに次ぐ史上4頭目のエリザベス女王杯連覇をやってのけた。
1番人気での勝利も、大外枠からの勝利も、11年のスノーフェアリー以来のことだ。
「スムーズなレースができました。よく頑張ってくれました」と言うルメールは、テン乗りでありながら、脚を溜め切れずに敗れるレースがつづいていた女王の強さを見事に引き出した。
この名牝はアーモンドアイと同い年
「さすがルメール」と唸らされる好騎乗だったと同時に、「またルメールか」とも言いたくなってしまう結果だった。これが3週連続での重賞勝利だったと同時に、今年6つ目のGI勝利。今週のマイルチャンピオンシップにはグランアレグリア、来週のジャパンカップにはアーモンドアイという有力なお手馬が控えている。自身が2018年に記録した年間最多GI勝利の「8」を射程に入れた。
また、これが今年JRAでの181勝目となり、史上最多の年間215勝を記録した18年以来、自身2度目とな る200勝超えも見えてきた。
話はラッキーライラックに戻るが、これだけ強い牝馬がアーモンドアイと同い年なのだから恐ろしい。アーモンドアイがいなければもっとGIを勝っていたとも言えるし、アーモンドアイに牝馬三冠すべてを勝たれながらもGIを4勝もしたのだから、やはりすごいとも言える。阪神コースでGIを3勝というのは1984年のグレード制導入以降では最多である。
次走は12月27日の有馬記念か。アーモンドアイは11月29日のジャパンカップがラストランとなる。時代を代表する名牝の直接対決がもう見られないのは寂しいが、それぞれの物語はつづく。