酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
なぜダルビッシュ&前田健太はサイ・ヤング賞“大差の2位”だった? 1位との指標を徹底比較すると…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGetty Images
posted2020/11/16 11:30
素晴らしい成績だった前田健太とダルビッシュだが、ビーバーとバウアーの成績がそれを上回ってしまった
バウアーが昨年、日本で“講演”したことって?
トレバー・バウアーは昨年12月、法政大学で行われた「日本野球科学研究会大会」にゲストパネラーとして出席、自分の持ち球について一つ一つ回転数や回転軸などを解析し、より精度を上げるために工夫したと説明していた。データに基づいて投球を自分で設計していたのだ。
その後、バウアーはキャンパスで、会合に参加していたロッテの吉井理人コーチの質問に答えてマウンドで踏み出す足の位置と置き方について丁寧に答えていた。 バウアーは188cmの吉井コーチよりも背が低く、平凡な体格なのが印象的だった。
周囲には法政大学野球部の選手と、米子東高校の野球部員たちがいた。彼らはこの知的なメジャーリーガーと接して、どんな印象を得たのだろうか?
ダルビッシュもそうだが、現代のMLBでトップクラスに君臨する投手は、自らの肉体、投球動作を冷静に解析し、それに基づいて自らの投球術を進化させている。トレーニングも科学的だ。
そこには日本野球でよく目にする「期待に応える」「根性」「気力」「ハート」などの言葉が入る余地はないと感じた。
今回のサイ・ヤング賞投票を見ても、MLBの野球はメンタルも含めて、NPBとは違う次元になろうとしているのだという印象を強く持った。
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