酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
なぜダルビッシュ&前田健太はサイ・ヤング賞“大差の2位”だった? 1位との指標を徹底比較すると…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGetty Images
posted2020/11/16 11:30
素晴らしい成績だった前田健太とダルビッシュだが、ビーバーとバウアーの成績がそれを上回ってしまった
〇QS数(投手の最低限の責任と言われる6回自責点3以下の試合数)
バウアー9
※ダルビッシュ10
デグロム8
安定感を示す非常に重要な指標である。バウアーは11試合で9試合、ダルビッシュは12試合で10試合。いわゆるQS率ではバウアー82%に対しダルビッシュ83%。大きな差はつかなかった。
〇K9(9回あたりの奪三振数)
バウアー12.33(100奪三振/73回)
ダルビッシュ11.01(93奪三振/76回)
※デグロム13.76 (104奪三振/68回)
以前のコラムでも紹介したことがあるが、ダルビッシュはMLB屈指のK9を誇る投手である。ここ3年間K9は11を超えている。しかし近年、2シームやチェンジアップなどの精度が上がったこともあり、全体的にK9の数字が異様に高くなっている。11.01という数字が大きなアピールにならなかったのではないか。
〇K/BB(奪三振数÷与四球数)
バウアー5.88(100奪三振17与四球)
※ダルビッシュ6.64(93奪三振14与四球)
デグロム5.78(104奪三振18与四球)
これも投手の安定感を示す重要な指標。ダルビッシュはバウアーやデグロムより優秀だった。
〇WAR(Baseball Reference)
※バウアー2.7
ダルビッシュ2.7
デグロム2.6
〇WAR(FANGRAPHS)
バウアー2.5
※ダルビッシュ3.0
デグロム2.6
WARは投打の総合指標として記者投票では重視される。記録専門サイト「Baseball Reference」のWARではバウアーが僅差でダルビッシュを上回るが、FANGRAPHSではダルビッシュが上。今季に関しては決定的な指標ではなかったと言えよう。