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寺山日葵を救った那須川天心の助言とぱんちゃん璃奈の苦笑い “完成品”ではないキック女子たちの今

posted2020/11/13 11:04

 
寺山日葵を救った那須川天心の助言とぱんちゃん璃奈の苦笑い “完成品”ではないキック女子たちの今<Number Web> photograph by REBELS

ぱんちゃん璃奈はその高いポテンシャルゆえに試合のたびに悩む。そこが彼女の1つの魅力だ

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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 RENAvs神村エリカの立ち技女子頂上決戦、RISE QUEEN王座決定戦が行なわれたのは2011年の11月だった。

 あれから9年が経った。RENAはMMAデビューし、RIZIN躍進の立役者の1人となった。神村は2014年に引退している。

 1990年代には全日本キックの熊谷直子、シュートボクシングの藤山照美らが一時代を築いた。この時すでに女子だけの興行も開催。RENAと神村は、熊谷たちの後継者という面もある。

 そして今また、新たな世代が台頭してきた。RISEは神村をプロデューサーに据えて女子トーナメント(47.6kg)を開催。他団体含め出場8人中5人がタイトルホルダー、優勝賞金300万円という大規模なものだ。

那須川天心の助言で寺山が得た「下がる勇気」

 10月11日の横浜大会(ぴあアリーナMM)で1回戦、準決勝と決勝がエディオンアリーナ大阪大会で行なわれたトーナメントは、かつてのRENAと神村と同じRISE QUEEN(ミニフライ級)の寺山日葵が優勝を果たした。

 1回戦では自分の闘いができず悔し涙を流したが、大阪での2試合は吹っ切れていた。「RISE QUEENらしい闘いをしなければ」という重圧から解き放たれたのだ。周りの人間は「RISE QUEENらしさより寺山日葵らしい闘いが見たい」と言ってくれた。

 神村はガツガツと倒しにいくファイトスタイルだったが、寺山の生命線は距離のコントロールと試合運び。前蹴りで突き放し、不用意に距離を詰めてきた相手にはヒザを突き刺す。下がって距離を取ることができるようにもなった。

 1回戦ではアグレッシブに前に出ることを重視しすぎ、そのことで自分の距離を見失っていた。そんな寺山に「俺は下がるの全然怖くないし、ロープ背負っても余裕だよ」とアドバイスしてくれたのは同じジムの那須川天心だった。

「自分のスタイルが見えてきた。この闘い方を極めたいです」

 19歳で女子キックの“顔”になった寺山は言った。「凄いね」という言葉をかけられるのが恥ずかしくて周りに格闘技をやっていると言えなかったが、成人式にはベルトを持っていくのもいいかなと思うようになったそうだ。

【次ページ】 「いつか追い越すまで、私はメインじゃなくていい」

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