濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
寺山日葵を救った那須川天心の助言とぱんちゃん璃奈の苦笑い “完成品”ではないキック女子たちの今
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byREBELS
posted2020/11/13 11:04
ぱんちゃん璃奈はその高いポテンシャルゆえに試合のたびに悩む。そこが彼女の1つの魅力だ
重要だったチャンピオンとしての初戦
寺山が優勝した1週間後、後楽園ホールで開催された『REBELS』のメインイベントにも女子選手が立っていた。同団体のBLACKルール(ヒジ打ちなし)46kg級女子王者・ぱんちゃん璃奈だ。
デビューから8連勝でベルトを巻いたぱんちゃんには、軽量級屈指の強豪としてRISEトーナメント出場の機運もあった。しかしベルト獲得が8月30日、トーナメント開幕が10月11日と試合間隔が短すぎた。RISEルールにアジャストする時間も必要だ。出たいという気持ちもありながら、出場を見送った。
だからこそ、11.8後楽園は重要だった。対戦するMARIは元チャンピオンであり、RISEトーナメント出場メンバーとの対戦経験もある。チャンピオンとしての初戦は、トーナメントとの間接的な闘いという意味もあった。
「いつか追い越すまで、私はメインじゃなくていい」
結果は判定勝ち。試合直後は「調子はよかったのに倒せなかった。これじゃ“判定の女王”ですね」と苦笑いしていた。泣きたい気持ちをこらえての苦笑に見えた。
ベルトを巻く前から雑誌のグラビアなどでも注目され、今回の試合前にはさまぁ~ずのYouTubeに登場。自身のYouTubeチャンネルではアイドルグループのアップアップガールズ(仮)、アップアップガールズ(プロレス)とコラボしている。REBELS女子を盛り上げるためにも知名度は必要で、知名度や話題性からすると自分がメインの責任を背負うしかないという決意もあった。メインイベンターとしてのプレッシャーはあったかと聞くと、彼女は「私が弱かっただけです」と答えた。
だが一夜明け会見では、次の試合はメインじゃなくていいと率直に語っている。
「他の選手がもっと迫力のある試合をしているので。いつか追い越すまで、私はメインじゃなくていいです」。今はメインでも第1試合でもいい、とにかく納得できる試合がしたいという。