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柔道・村尾三四郎が東京五輪代表落選の逆境で97キロにパワーアップ! 「ただシンプルに強くなる」極意
posted2020/11/09 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
柔道の体重別日本一を決める講道館杯全日本体重別選手権(兼全日本選抜体重別選手権)が、10月31日から11月1日まで千葉ポートアリーナで無観客にて行なわれた。
新型コロナウイルス感染症問題が深刻化してから、柔道では初となる全国規模の大会。東京五輪の代表に内定している男女13選手は出場しなかったが、世界選手権メダリストやパリ五輪に向かう若手の有望株が顔をそろえ、長く厳しい自粛期間にも懸命に自己を高める努力を重ねてきた成果を好勝負で示した。
中でも一回り成長した姿を見せたのが、男子90キロ級で連覇を果たした村尾三四郎(東海大2年)だ。
「今強くなって差をつける。そう考えてやってきた」
「無観客での試合は初めてで不思議な感じだったが、自分の柔道を出すことに意識を置いて戦った。連覇が懸かっているこの大会で、勝つのと勝たないのとでは自分の中で全然違う。勝ちにこだわって、それができて良かった」
堂々とした話しぶりと同様に、試合内容も堂々としていた。
対人競技である柔道は、感染リスクの観点から他競技と比較して練習面で厳しく制限される状態が続き、乱取りを再開できたのは8月になってからだ。しかし、20歳の若武者はただ静かに伏しているだけではなかった。
自粛期間中、周囲には「今は休んでまたがんばろう」というムードも流れていたというが、村尾は頑として首肯しなかった。
「自分は一日も無駄にしない。今強くなって差をつける。上の人に追いつき追い越す。そう考えてやってきた」