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36歳越川優にまた驚かされた! ビーチバレーからVリーグへ再復帰、希望したのはマネジメント業?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/11/09 17:01
コロナ禍で大会が中止になった学生のためにイベントを主催した越川優
嘆くよりも、できることに力を尽くす
自分の力ではどうにもできない壁にぶつかって、何かを諦めなければならなくなったり、方向転換を余儀なくされた時に、越川が下す決断は、いつもアグレッシブだ。絶望してもおかしくない状況でも、越川は前向きなエネルギーにあふれている。
そんな越川の生き方を表しているような、印象に残った言葉がある。
越川は2008年北京五輪と09年のパドヴァで二度、左膝半月板を断裂し手術した。それ以前は高い跳躍力とパワーが武器のアウトサイドヒッターだったが、手術後ジャンプ力は約10cm落ちた。だがそれをきっかけに、巧さのある、相手が嫌がるプレーヤーになり、課題だった守備も向上。スタイルを変えて息の長い選手となった。以前、そのことについて聞いた時、越川はこう答えた。
「北京オリンピックの前は、自分のジャンプ力は伸びるしかないと思っていました。でも膝を怪我してしまった。もちろんまた跳べるようになることがベストだけど、そればかり期待していたら、状況が変わらなかった場合にそこで終わってしまう。だから、いい状況に戻ることを前提に考えるんじゃなく、現状でやるべきことをやろうという気持ちでやってきました。跳べなかったらそれでもう終わりかといったら、そうじゃないと思うから」
現状を嘆くより、今自分ができることに力を尽くして道を切り開き、プラスに変えていく。越川のその生き方はずっと変わらない。