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「ここまで勝点に貢献してくれるとは…」40歳遠藤保仁が移籍1カ月で“ジュビロの絶対的エース”に
posted2020/11/07 11:02
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph by
J.LEAGUE
J2磐田に加入した元日本代表MFの遠藤保仁が、絶対的なエースとして低迷していたチームを押し上げている。
チーム合流からわずか5日目で出場した10月10日、アウェーの松本戦では、ピッチの中央で司令塔として味方選手を巧みにコントロールし、何度も決定機を演出した。試合終盤には、直接狙った約20mのFKはクロスバーを直撃。惜しくも移籍即ゴールはならなかったが存在感を見せつけた。
初ゴールのルーキーは「自然とボールが出てくる感覚」
「初めての試合だったので、(味方)選手の特徴を探りながらやっていた。若手とベテランが一緒になって良いものを作り上げながら、自分のサッカー人生に新たなページを加えたい」
試合はドローで終えたが、それまで決め手を欠いていたチームに攻撃力と推進力を生み出した。元日本代表のMF山田大記は「チームに落ち着きが出るし、攻撃にタメもできる。前の選手が良い動きをすればボールも出てくる。前の選手がもっと良い動きをすれば、もっとボールを引き出せたんじゃないかと思う」と、初めて味方選手として一緒に戦った遠藤について驚きを隠さなかった。
その松本戦から中3日で迎えたホームの長崎戦では味方のゴールを演出した。0-0で迎えた後半2分、遠藤が蹴ったCKの流れから、今季ユースから昇格したばかりのルーキー三木直土がこぼれ球を押し込んだ。プロ初ゴールが決勝弾となった三木は、再三チャンスボールを供給してくれたレジェンドについて興奮気味にこう証言した。
「他の選手と違うタイミングや感覚を持った凄い選手だと思います。自然とボールが出てくる感覚なので、自分は信じて動き出すだけだった」
23年連続 “鮮やかなFK弾”も
加入早々、チャンスを演出し続ける遠藤自身の待望の移籍後初ゴールは、出場5試合目の10月25日、ホームの群馬戦で生まれた。
相手に先制を許して0-1で迎えた前半29分。ペナルティエリアのわずか外側、ゴール正面やや左で得たFKは、相手のカベを低く越えてそのままゴール右隅へと吸い込まれた。プロ入りから23年連続得点となる鮮やかなFK弾。遠藤の今季初ゴールで反撃の狼煙を上げたチームは、このあと2点を追加して今季2度目の逆転勝利を収めた。
「FKは距離も場所も狙いやすいところだったし、味方の選手が上手くボールを隠してくれたので自信をもって蹴った。23年連続は嬉しく思うし、チームとしても個人としてももっとゴールを増やしていきたい」