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アーモンドアイGI8勝の偉業にルメールが涙したワケ 次はコントレイル&デアリングタクトと夢対決か
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/11/02 11:55
天皇賞・秋で優勝したアーモンドアイ(右)。史上初、芝GI8勝の偉業達成でこの先がますます楽しみだ
激戦となった2つのポイント
これほどの激戦となったポイントは2つあった。スタート直後と直線入口での攻防だ。
アーモンドアイは速いスタートを切り、3、4番手の外目という、緩い流れのなかでは絶好のポジションで折り合った。
フィエールマンとクロノジェネシスもいいスタートを切ったが、外から切れ込んできたキセキと内のウインブライトに挟まれ、下げざるを得なくなった。これら2頭は、ここで位置取りが悪くなったことが最後まで響いた。
直線入口で、アーモンドアイの前が早々とあいてしまい、そこから400m以上も前に馬がいない状態で走ることになった。できれば前に馬を置いて脚を溜めてから弾ける形にしたかったところだろうが、目の前にいたダイワキャグニー(6着)は早めに下がってくる恐れがあった。ゆえに、ルメールは、その外に持ち出さざるを得なかった。
脚を溜めるところがなかったぶん、さすがのアーモンドアイも最後は苦しくなった。そこにフィエールマンとクロノジェネシスが付け入る隙ができ、きわどい勝負となった。
芝GI8勝の壁を見事に打ち破った
前週のコントレイルもそうだったように、名馬というのはライバルに迫られても、きっちり勝ち切る。
アーモンドアイは、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックといった歴代の名馬ですら成し得なかった芝GI8勝の壁を見事に打ち破った。
また、この勝利は、牝馬による牡馬相手のGI年間6勝目という、84年のグレード制導入以降の最多記録となった。