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アーモンドアイGI8勝の偉業にルメールが涙したワケ 次はコントレイル&デアリングタクトと夢対決か
posted2020/11/02 11:55
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
史上初の無敗の牝馬三冠馬となったデアリングタクト、史上3頭目の無敗のクラシック三冠馬となったコントレイルに続いて、歴史的名牝が、日本の競馬史を書き換える快挙をなし遂げた。
現役最強馬アーモンドアイ(牝5歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)が、第162回天皇賞・秋(11月1日、東京芝2000m、3歳以上GI)を制覇。同レース連覇を果たしたと同時に、史上初の芝GI8勝という偉業を達成した。
楽な手応えで直線に向いたアーモンドアイ鞍上のクリストフ・ルメールが、ラスト200m地点で右ステッキを入れた。そのアクションからは焦りが感じられた。
外から宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスが猛然と追い上げてきたのだ。
いつも笑顔のルメールが、涙を浮かべて
ラスト100mほどのところでアーモンドアイが先頭に躍り出た。
しかし、外から迫るクロノジェネシスと、三冠ジョッキー・福永祐一が乗るフィエールマンの勢いが凄まじい。特にフィエールマンの伸び脚が際立っている。直線入口では先頭から大きく離れた後方2番手にいたのだが、矢のような末脚で、前との差を急速に詰めてきた。
一気に呑み込まれるかに見えたが、アーモンドアイはフィエールマンの猛追を半馬身差でしのぎ切った。
3馬身差で圧勝した昨年とは異なる僅差の決着だったが、見事、2002、03年のシンボリクリスエスに次ぐ史上2頭目の天皇賞・秋連覇を果たした。
勝ちタイムは1分57秒8。同じ良馬場だった昨年より1秒6も遅かった。全体に時計のかかる馬場だったことに加え、前半1000mが60秒5というスローペースになったことがこの時計につながった。後半1000mが57秒3という究極の瞬発力勝負。アーモンドアイも上がり3ハロン33秒1という速い脚を使ったのだが、メンバー最速の32秒7の鬼脚を繰り出したフィエールマンと、それに次ぐ32秒8の末脚を見せたクロノジェネシスに追い詰められた。
それでもアーモンドアイは負けなかった。
いつも笑顔のルメールが、涙を浮かべてこう振り返った。
「最後はちょっとキツかったけど、よく頑張ってくれました。外から馬が来たので、心配したし、怖かったです。この馬に乗るときはいつもプレッシャーがあります。GI8勝は本当に獲りたかった。アーモンドアイはいい競馬をしました」