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「クイズは、私にとっての“回り道”です」 美しすぎるクイズプレーヤー・鈴木光が明かした東大生活
text by
鈴木光Hikaru Suzuki
photograph byWataru Sato
posted2020/10/25 00:00
松本清張の「手形詐欺」の話で読書感想文コンンクール入賞
――興味の幅が広い……。弁護士になるために司法試験の勉強を一直線にしているわけでもないんですね。
鈴木 昔から興味があっちこっちいくタイプなんです(笑)。バンドでギターやってるときも、学校の音楽室にある金管楽器に触ってみたくなって、昼休みにトロンボーンに挑戦してみたりとか。高1のときに、松本清張記念館主催の読書感想文コンクールに力を入れたこともありました。
――もしかして最優秀賞ですか?
鈴木 いえいえ(笑)。松本清張の「眼の壁」という手形詐欺の話がきっかけになる推理小説の感想を書いて、入賞しました。でも最近は小説を読んでいないんですよね。本を手に取るのは好きなんです。紙媒体には紙媒体の良さがあると思っていて。短いニュースを読むならスマホとか端末で十分だし便利だと思いますけど、勉強したり精読するにはやっぱり書き込みができる紙媒体が必要なんじゃないかなあって思ってます。だから私は、紙で買いたい派。『ブルームバーグ』も紙で読んでます。
――鈴木さんのような世代から紙媒体支持の声が聞けるとは、ありがたいというか、新鮮です。
鈴木 大学で斎藤茂吉の短歌を読む講義を取っているんですが、先生が茂吉の歌集『赤光』の初版を持ってきてくださって、教室で目にする機会があったんです。純粋に、きれいな本だなって思いました。斎藤茂吉という歌人の作品それ自体に価値があることはもちろんなんですが、歌集という「本」そのものの貴重さ、価値みたいなものを感じました。これからの出版物にも、物としての価値がきっと求められるような気がします。