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ナゾの“モンゴリアン”がオカダ・カズチカを突き落とす? 怪力怪奇派グレート-O-カーンの実力は
posted2020/10/29 11:01
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
スーツ姿の異様な風貌の男が両国国技館のリングに姿を現したのは、10月16日だった。
この日はG1クライマックス優勝戦進出の可能性を残していたオカダ・カズチカとウィル・オスプレイがハイレベルの好試合を見せていた。
そこまではどちらが勝っても、今年のベストバウトに値する内容だった。だが、オスプレイがピンチになった時、スターダム参戦中の女子レスラー、ビー・プレストリーがリングサイドにやって来てレフェリーの気を引いた。プレストリーはオスプレイのガールフレンドだ。
縦じまのスーツ、右手に白いテーピングをした男はその隙にリングに侵入すると、オカダに襲い掛かり、その顔面をワシ掴みにしてチョークスラムの要領で高くリフトアップしてマットに叩きつけた。
このダメージでオカダはオスプレイの追撃を受けてピンフォールを許し、優勝戦進出の望みを絶たれた。
O-カーンにとって絶好の機会だった
O-カーンは新日本プロレスのヤングライオンだった岡倫之が変身を遂げた姿である。その実力は日大時代から太鼓判を押されていて、2012年には全日本レスリング選手権フリースタイル120キロ級で優勝している。
渡英した岡はグレート-O-カーンを名乗り英国マットで無敗の快進撃を続けていたが、しばらくその姿を消していた。その間彼が何をしていたかは謎だが、今回のような機会をうかがっていたのだろう。
オスプレイと手を結んだO-カーンにとって、オカダとオスプレイの試合こそ絶好の機会だった。O-カーンは国技館のビッグマッチで大変貌を遂げた姿を、ファンの目に焼きつけることに成功した。