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ビエルサ考案「4-1-1-1-3」の“ORIGINAL”な衝撃 「システムは10個」と豪語するワケ
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph byGetty Images
posted2020/10/15 17:03
試合直前に握手をかわしたグアルディオラ(左)とビエルサ
「私はそれをまとめただけにすぎないのです」
ビエルサは天才的と絶賛されるその戦術について、淡々とこう語る。
「私の戦術は、自分が発明したというものではありません。10のシステムも数多くの試合を見て整理したものにすぎません。全てはピッチ内で現実に起きていたこと。私はそれをまとめただけにすぎないのです」
自らに独創性はないとエル・ロコは言う。だが、そのプレースタイルはあまりに斬新であり哲学的である。ビエルサは常にサッカーを「解体」し、新たな意味を持たせて選手にプレーをさせるという“脱構築的”なメソッドで試合を組み立てているようにも見える。
アルゼンチンメディアはリーズ対シティ戦を「パルティダッソ!(凄い試合だ!)」とデカデカと見出しを掲げて絶賛した。
「シティとの関係を均等にするために、我々は膨大な物理的努力をしなければなりませんでした。我々は、ゲームが美しいものになるために私たちの役割を果たしました」
ビエルサは試合後、満足そうな表情で語った。
今季、リーズによって展開されるサッカーは、誰もが見たことのないようなテンポ、そしてプレーの数々で彩られている。
(前編「ビエルサ、グアルディオラにポゼッションで上回りドロー 選手交代とマッチアップの妙を検証」は下の「関連記事」からご覧ください)
【取材協力】株式会社 MRH&CANTERA
〈参考文献〉
『ビエルサの狂気』(ベースボール・マガジン社)
『leedsunited.com』、『GOAL.COM』、『OLE.COM.AR』他
荒川友康(あらかわ・ゆうこう)
サッカー指導者。アルゼンチンで複数のチームや滝川第二高校での指導を経て、ジェフ千葉・育成コーチ、京都サンガ・トップチームコーチ、FC町田ゼルビアトップチームコーチなどを歴任。ビエルサのみならず、Jリーグでもアルディレスなどの名将の元で働く。アルゼンチンサッカー協会認定のS級ライセンスを所持。FCトレーロス所属。
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