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“トラブル多発”もバネにするBリーグ王者 A東京のド直球でブレない力が末恐ろしい
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byYuki Suenaga
posted2020/10/10 11:02
負傷欠場の田中大貴に代わり、2戦目にプレータイムを得た大学生Bリーガーの小酒部。約15分出場で5得点
「大貴がいなくても他の選手がカバーできる」
チームの欠かせないピースである田中の不在を受け、パヴィチェヴィッチHCはどのようにゲームプランを修正したのか。試合後にそう問うと、こんな答えが返ってきた。
「プランはほぼ変わっていません。大貴が小酒部(泰暉)であり須田(侑太郎)に代わっただけで、役割は同じです。うちは全員がハードに練習しているので、大貴がいなくても他の選手がカバーできるのです」
もちろん、細かな変更はあった。川崎の佐藤賢次HCは「アルバルクさんはうちにシュートを打たせないために、ビッグマンとその他の選手が早めにスイッチする守り方に変えてきた」と証言している。
ネガティブ面での変化で言えば、須田と小酒部はボールハンドラー(ピック&ロールの起点としてボールを操る選手)としての役割を田中ほど高いレベルで発揮したとは言えないし、ルーキーの小酒部はターンオーバーも目立った。
パヴィチェヴィッチHCはド直球の王道だ
それでも、“チーム”としてのクオリティは1戦目と何ら変化がなかった。
1戦目から大型ラインナップの連携と機動力が格段に増した川崎の得点を50点台に抑え、ビハインドを終始10点以内に収めたのが何よりの理由だ。
指揮官によって、戦略の立て方は様々である。川崎の佐藤HCは、対戦相手に応じて選手起用やプレーを細かくアレンジするタイプ。パヴィチェヴィッチHCはド直球の王道だ。相手が誰だろうが、自分たちがどのような状況であろうが、やるべきことの大枠は決して揺るがない。
田中に代わってスタメン起用され、攻守に躍動した須田は、気負いのない、フラットなマインドで試合に入った。
「メンバーが揃わない状況で戦うこの開幕節は、『より強い気持ちで戦っていかなきゃいけない』と強い意気込みを持っていました。昨日から集中力をしっかり持って戦っていたので、大貴が抜けても特別に気持ちを入れ直すことはなかったです」