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“トラブル多発”もバネにするBリーグ王者 A東京のド直球でブレない力が末恐ろしい
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byYuki Suenaga
posted2020/10/10 11:02
負傷欠場の田中大貴に代わり、2戦目にプレータイムを得た大学生Bリーガーの小酒部。約15分出場で5得点
前評判は、川崎が圧倒的有利だった
2戦ともに「さすがリーグ屈指の強豪対決」と思わせるタフでレベルの高いゲームだったが、特に際立ったのがA東京の地力だ。
前評判は、川崎の圧倒的有利。2人の外国籍選手が未合流のA東京に対し、川崎は帰化選手のニック・ファジーカスを含む4人の海外出身ビッグマンをそろえ、うち3人を同時起用するオプションを持っているからだ。
川崎は予想通り、ニック(207cm)、ジョーダン・ヒース(208cm)、パブロ・アギラール(203cm)をスタメン起用し、コート上の外国籍選手はアレックス・カーク(211cm)1人という布陣のA東京を圧倒しようとした。
田中大貴が、1試合目終盤に負ったケガで欠場
しかしふたを開けてみると、先に主導権を握ったのはA東京だった。
サイズの優位性を強調しようとするあまり重くなった川崎のオフェンスを、A東京はディフェンスでさらに鈍化させた。アレックス・カークは「俺がいればいいだろ」と言わんばかりの活躍を見せ、竹内譲次、菊地祥平、ザック・バランスキーがそれをフォロー。今季よりキャプテンに就任したポイントガードの安藤誓哉も、ゲームコントロールに得点に、素晴らしいパフォーマンスだった。
「出だしから賢くハードにディフェンスすることができた。ニックを止めることに成功し、3人のビッグマンを置くラインナップに対しても簡単にスコアさせなかった。オフェンスが非常に強い川崎を前半20点台に抑えられたことが大きな勝因だと思う」
ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、試合をそう総括した。
2戦目は、A東京にとってさらにチャレンジングな試合となった。得点、ディフェンス、ピック&ロールの起点とオールラウンドに活躍する田中大貴が、1試合目終盤に負ったケガで欠場。今日こそ川崎の圧勝かと思いきや、最後まで大接戦だった。