「陸也の個性は思い切り振れること」

　“失敗談”で持つべき指針を説かれた星野は、別の偉大な先輩の言葉も思い出していた。

　昨年の海外遠征のフライトで、たまたま座席が隣になった青木功と話す機会があったという。

「スイングの話になって、『陸也は変に改造しようとしていないか？ そういうことは絶対にするな。いまのスイングで作り上げて、自分を信じてやんなくちゃいけないよ』と」

　丸山の前、日本人史上初のPGAツアーチャンピオンも、奇しくも同じような思いを後人に授けていた。

　丸山は「自分の柔軟性を失わないように、強さを身につける方法があるはず。陸也の大きなアークが保てるような体づくりをしてほしい」と続けた。

「陸也の個性は思い切り振れること。誰もが“気持ち悪い”ホールで、あれだけ振り切れるのはアドバンテージ。素晴らしいことで自信を持っていい」

　身に降りかかる重圧を、毎度、吹き飛ばすかのようなフルスイング。それは見上げるほどの長身以上に、丸山が思いを託せる星野の個性なのである。

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