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長谷部誠「喜怒哀楽を共にできることを」観衆と声援、ブーイングが戻ったブンデス開幕

posted2020/09/24 07:00

 
長谷部誠「喜怒哀楽を共にできることを」観衆と声援、ブーイングが戻ったブンデス開幕<Number Web> photograph by Getty Images

これまでの人員レベルを踏まえれば“6500人”はブンデスとしては物足りないだろう。しかし観客が戻った第一歩としてとらえれば、それは大きな価値がある

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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「僕は幸運にもずっとスタジアムで取材ができていたんだ。それはありがたいことだったと思う。でもさ、無観客の試合と、観客ありの試合はやっぱり全く別物なんだよ。今日は新たな始まりだ」

 話の主はフランクフルトの番記者だ。

 ブンデスリーガ第1節、フランクフルトとビーレフェルトの試合取材に僕は訪れていた。新型コロナウィルス拡大抑制のための衛生対策ではメディアによる取材も厳しく制限され、最初は10人のみ、その後も20人ほどしか取材許可が下りないでいたため、国外メディアはノーチャンス。それがようやく少し緩和されたために、僕にとっては実に半年ぶりとなる現地取材をすることができたというわけだ。

ついに“6500人”のファンが復帰する

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 普段はスタジアム地下にあるメディアルームでケータリングの食事を取ったり、試合前の準備をしたりするのだが、衛生対策上現在は立ち入り禁止となっている。急遽準備されたスタジアム外に設置されたメディア用のベンチに座っていると、近くに座っていた顔見知りの彼が話しかけてきた。

 そう、この日、フランクフルトのホームスタジアムであるドイチェ・バンク・パークには、6500人のファンがいよいよ復帰するのだ。

 僕と彼はどれだけこの瞬間を待ち続けていたかを熱っぽく話していた。もちろん必要な距離を取ったうえで。しばらくして腕時計を見た彼は「おお、そろそろ記者席にいかないと!」といって元気に立ち上がった。笑顔を抑えることができない。たぶん僕もそんな顔をしていたはずだ。

 フランクフルトの記者席はスタジアムの一番上の方にある。階段を何段も駆け上がる。ワクワクした思いがどんどん出てくる。そして通路を抜けて重い扉を開いた。

【次ページ】 自然発生的に起こった大拍手とブーイング

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