テニスPRESSBACK NUMBER
「大坂なおみは100%受け入れられるよ」全仏欠場もレキップ紙記者が称えた勇気と尊厳
posted2020/09/18 18:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
大坂なおみの夏の戦いは終わった。そして彼女はその戦いについて、ツイッターを通じてかなり挑発的にも受け取られる言葉で振り返った。
「“政治をスポーツに持ち込むな”と言っていた全ての人たちに(全然、政治的なんかじゃなかったのに)、すごく刺激されて勝つことができた」と。
白人警官や自警団による暴力によって死亡したとされる被害者の名を、1人ずつ記した7枚の黒いマスク。大坂は1回戦から決勝までの7試合全てで、入退場時とコート上のインタビューでそれを着用した。
その行為から得ていた力は2種類あったのだ。1つは7人の名を全て世界に見せるのだという使命感、もう一つはその行動を批判する人たちへの反発心からのエネルギー……より俗っぽく言えば<何くそ根性>である。
「一生懸命泣かないようにしていました」
半年近いツアー中断の間に「シャイでいることはやめた」と決意した大坂は、大会中も「私が嫌いならしょうがない」と強気だった。批判はあっても、それを圧倒するほどの後押しムードに支えられていたことは確かだろう。準々決勝後には、マスクに記された被害者の遺族からのメッセージ動画がコート上で紹介されるという演出も用意された。
大坂はこう語っている。
「一生懸命泣かないようにしていました。彼らが私のしていることに感動してくれているということが、私にとってはとても感動的でした。私は自分にできるかもしれないことの中から、ほんの小さなことを1つ実行しているだけです。本当にありがたいし、身が引き締まる思いです」