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「オレはなんてバカなんだ」50歳ミケルソン、悲願の全米オープン初制覇に向け因縁の地へ
posted2020/09/16 11:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
9月17日、いよいよ全米オープンが開幕する。
今年の舞台はニューヨーク郊外の難コース、ウイングドフットGC。
2006年大会でフィル・ミケルソンが喉から手が出るほど欲していた全米オープン・タイトルに王手をかけ、それなのに72ホール目で自滅して勝利を逃した因縁の場所だ。
当時を知るウイングドフットのジェネラル・マネージャー、コリン・バーンズ氏によれば、あの'06年大会の前、ミケルソンと当時の相棒キャディだったジム・“ボーンズ”・マッケイの2人は、誰よりも多くウイングドフットを事前に訪れ、綿密な準備を行なっていたそうだ。
「2人は、とにかくグリーンのチェックに余念がなかった。確認した内容を彼らはノートに記していて、そのノートをちらっと見たら、小さな記号や数字がぎっしり書き込まれていて、まるでNASAが作成した(宇宙開発の)資料のようだった」
入念な準備、ドライバーはフェード用だけ
当時、ミケルソンはマスターズ2勝('04年、'06年)、全米プロ1勝('05年)を挙げ、メジャー通算3勝を誇っていたが、全米オープンを制したことは1度もなく、愛国心に富む彼は、アメリカ合衆国のナショナル・オープンで勝利することを何より切望していた。だから大会の何カ月も前から勝利を誓って準備していた。
まず4月のマスターズを制した2週間後にウイングドフットを初訪問。6月の全米オープンの3週間前に2度目の訪問。そして大会前週に3度目の訪問。合計3度、通算10日間を費やして、ウイングドフットを徹底研究し、徹底練習を行なった。
「距離は長いが、勝敗を左右する長さではない。飛距離より、ボールをインプレーに置くことがカギになる。コントロールショットでフェアウエイをしっかり捉えていくことが何より求められる」
ミケルソンは、ドロー用とフェード用、2本のドライバーを駆使してマスターズを制したばかりだったが、全米オープンではフェード用だけをバッグに入れ、フェアウエイ・キープを目指すつもりだった。